三条市総合福祉センターの中庭に12羽きょうだいのカルガモ親子がお目見え。同センター利用者の熱い眼差しを一身に浴びるアイドル出現はさしずめ「SNJ12」か。とはいえ、かわいいと目を細めてばかりもいられず、近く引っ越し支援を迫られそうだ。
同センター正面玄関を入ってすぐの場所に窓口を置く三条市社会福祉協議会事務局職員によると、1日から利用者がざわざわし始めた。中庭にカルガモの親子を見かけたという話だった。翌2日になって職員もその存在を確認。数えると親1羽に子ども12羽の大所帯だった。
子どもは生まれたばかりのようで、幼児の握りこぶしの大きさくらいしかない。親から決して離れず親が歩くと並んでついて歩く。
飛んで来たカラスに驚いたのか逃げたのか、池に落ちることもあるが、慌てて水から戻ってくる。ルートを間違えてのぼれない子どもを親が心配してくちばしを近づけるしぐさも。
カルガモも見つけると誰もが「かわいい!」と声を上げ、ずっと足を止めて「いつまでも見ていられる」とぞっこん。「カルガモが出てきた」、「池に落ちたよ!」と実況中継する人も。3日に同センターを訪れた滝沢亮市長も柔らかそうな羽毛に包まれた子どもに「もふもふ」と目を細め、スマートフォンで激写。カルガモフィーバーにわいている。
親は1羽しか確認できず、事務局職員は「わたしも子どもがいるからわかるけど、ワンオペでかわいそう」。ひとり親家庭の支援は福祉の課題のひとつだ。
中庭には外から歩いて入れる通路はなく、親が中庭に飛来して中庭にタマゴを産んでかえったと考えるのが妥当だ。中庭はしばらく過ごすだけなら十分な広さがあるが、子どもたちが飛び立てるようになるまで中庭で食糧の確保などができるかどうかとなると心もとない。
このまま放置して命を落とすような事態は、民間の福祉の支援を旨とする社協にとっては見過ごすことができない。中庭は出入りできるドアがあり、そこから廊下を抜けて外へ出るようにカルガモ親子を誘導する手もある。
いずれにしろ専門家の知見を得て、カルガモ親子の救済措置の方策を練る必要に迫られることなりそうだ。