日本とアゼルバイジャンの外交関係樹立30周年事業として7月23日、24日の2日間、アゼルバイジャンで新潟県三条市の伝統行事「三条凧(いか)合戦」が披露される。三条の六角巻凧が海外の空を舞うことはあったが、凧合戦を前提とするのは初めて。
三条凧協会(須藤謙一会長)の若手を中心に26歳から54歳まで揚げ師10人がアゼルバイジャンへ渡り、「アゼルバイジャン合戦」を繰り広げる。
23日はアゼルバイジャン第2の都市のランカラン市の市庁舎前広場、24日は首都バグー市のカスピ海沿いの海岸公園が会場。どちらもふだんから観光客でにぎわっており、約1万人が集客があるという。
30枚ド(2.17m×1.74m)の六角凧15枚を持ち込み、揚げるだけでなくしっかり空中で凧を戦わせる三条凧合戦の妙技を披露するほか、合戦以外の時間もアゼルバイジャンの人から凧糸をつかんで凧揚げを体験してもらう。また、ランカンには上杉謙信、バグーには三条左衛門の絵凧を寄贈する。
三条六角巻き凧は「SANJO ROKKAKU」の名前で世界の凧の愛好者に知られる。アゼルバイジャンでカイト(凧)がブームになり、2018年の三条凧合戦がアゼルバイジャンの国営放送で取材、放送された。カイトのバトルがアゼルバイジャンで反響を呼び、それを聞きつけたアゼルバイジャンの日本大使館から須藤会長へ直接、メールで日本とアゼルバイジャンの外交関係樹立30周年事業として凧合戦開催の打診があった。
日本とアゼルバイジャンは1992年に外交関係を樹立。それからはちょうど30年のことしを「友好年」として文化、経済、政治などのさまざまな分野で交流事業を行って両国の関係を深化させようという試み。金銭面をはじめさまざまな調整に1年以上をかけて実現する。
三条凧協会は、全国組織の凧好きでつくる「日本の凧の会」の一員などでこれまで中国、韓国、ホノルルなどで凧を揚げているが、合戦を前提としての海外遠征は初めてになる。
須藤凧屋の六代目となって15年の須藤会長は、「六角巻凧を世界に紹介するのが目標だったので、その第一歩がアゼルバイジャンと思っていてすごくうれしい」、「凧は見ている人の思いも乗せるもの。平和であってほしいし、皆さんの未来や夢を乗せて上がって行ってもらったらいい」と期待している。