JR東日本は、ことし冬のオープンを目指してJR燕三条駅構内に地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub」の1号拠点を開業する。シェアオフィスやビジネスマッチングの機能を備えて地域課題のソリューションを提供する。
2020年に信越線の三条市・帯織駅で開業した地域のものづくり拠点「Eki Lab(エキラボ)帯織」を拡充して燕三条駅に設置する形になる。
運営パートナーは「Eki Lab 帯織」を運営している株式会社ドッツアンドラインズ(齋藤和也代表取締役・三条市帯織)。改札外2階のビュープラザだった約200平方メートルのスペースを充てる。
地元製造業と企業のビジネスマッチング「ものづくりコンシェルジュ"MOC"」、ものづくりを中心とした地域情報の発信、時間シェアオフィス・コワーキングスペース、KDDIが推進するリモートに対応した次世代外会議室「空間自在ワークプレイス」、課題発掘型人財育成プログラム「JRE STATION カレッジ」などのサービスを提供する。
午前10時から午後7時までの営業で、10月にプレオープンを予定。内閣府が推進する「デジタル田園都市国家構想推進交付金(地方創生テレワークタイプ)」の対象となって4500万円の交付金を受け、JR東日本が6000万円から7000万円を投資し、そのうえでドッツアンドラインズが運営費が投じる。
JR東日本は、グループ経営ビジョン「変革2027」で「地方を豊かに」を実現するため、Beyond Stations構想のもとで駅の「地域拠点化」を進めている。そひとつが、地域の技術や人々をエリアや世代を超えてつなぐ地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub」。燕三条に続き今年度末に「ホテルファミリーオ館山」(千葉県館山市)を開業する。
燕三条が1号拠点となった背景には、「Eki Lab 帯織」が順調に推移したことがある。ビジネスマッチングによる取り引きはすでに年間1億円を超える規模に成長している。燕三条地区への乗降客の玄関口となる燕三条駅ならさらに大幅な拡大が見込める。
5日は燕三条駅で記者会見した。三条市とJR東日本新潟支社が地方創生と地域経済の活性化に関する連携協定の締結式も行った。
小川治彦支社長は「上越新幹線もコロナ前の6割ていどまでしか回復していない」、「需要を取り戻すために何よりもやはり地域が元気にならなければならない」とし、「駅をはじめとした経営資源や販売チャネル、ネットワークを活用して三条市と私どもの相乗効果をつくりだしていきたい」と述べた。
さらに「この駅が多様な価値観が交流することによって地域の技術、魅力、そして新しいイノベーションを生み出す場になってほしいという思いを込めている。協定締結を契機に三条市とJR、そして地域のプレーヤーが一致協力して、製造業の活性化、、移住・定住促進、交流人口の拡大と、まさに地方創生につなげていきたい」と決意を示した。
滝沢亮市長は新型コロナウイルスの感染が収束に向かい、これからインバウンド観光も見込まれるなかでの取り組みに「このタイミングで協定を結ぶことができたのは三条市にとっても喜ばしい」と歓迎した。
齋藤和也代表取締役は、「Eki Lab 帯織」では、BtoBビジネスをメインとしており、「ビジネスマッチングだけでなく、交流して、さらに製造までつなげる」。今回の違いは、「燕三条全域のさまざまな工場の人たちと手を取り合って、Eki Labの拡大版と認識ている」。
今度は燕三条駅を拠点に「燕三条 工場の祭典」などさまざまな事業と連携して新たなビジネスマッチングとして見学の誘致などにも積極的に取り組み、工場のデータをアナログからデジタル化へ進化させ、5年計画ぐらいで「燕三条の企業のDX化を推進する一助となる仕組みにする」と計画を示した。
記者会見後、小川支社長は「これで駅がにぎやかになって人が集まってくれ、成功事例になってくれれば」と期待した。