晩年の良寛(1758-1831)との交流で知られる貞心尼(ていしんに)(1798-1872)の没後150周年の記念展「和島は良寛と貞心尼の出会いの地」が16日から10月2日まで良寛ゆかりの地の長岡市島崎にある「良寛の里美術館」で開かれており、初公開の遺墨も展示されている。
初日16日はオープニングセレモニーが行われ、磯田達伸長岡市長、小島正芳全国良寛会会長、極楽寺寺庭の籠島明子さん、羽島仁一和島良寛会会長、山田勝館長の5人でテープカットを行って開場。籠島さんが展示解説も行った。
良寛は江戸時代後期の曹洞宗の僧侶。歌人や書家として知られ、今も敬慕されている。亡くなるまでの5年間は長岡市和島地域の木村家草庵で暮らした。木村家に移住した翌年、70歳だった良寛に30歳だった貞心尼が初めて顔を合わせた。
貞心尼は長岡城下に生まれ、17歳で医師と結婚して旧小出町に住んだ。23歳で離婚し、柏崎で出家し、閻王寺に住んだ。30歳で長岡市福島の閻魔堂に移って良寛と対面。翌年、柏崎へ写ったが、良寛が亡くなるまでの数年間、交流を深めた。
初めての良寛歌集『はちすの露』、さらに初めての良寛詩集『良寛道人遺稿』を完成させ、今に良寛が伝えられているのは、貞心尼の功績によるところが大きい。
今回の企画展は、ことしで貞心尼が亡くなって150年の節目を迎えたことを記念。貞心尼の遺墨をはじめ、良寛の書や貞心尼にまつわる歌碑の拓本や句碑の写真など56点を展示。うち同美術館で所蔵する貞心尼の歌集『やけのの一草』、具体的に誰にあてたかわからない「方丈さま宛書簡」など5点の初公開作品もある。
通路には没後150年展によせた絵手紙展や新潟妖怪研究所長の高橋郁丸さんが描いた「貞心尼ものがたり」のイラストパネル展示も行っている。
また、貞心尼150周年と合わせて出雲崎町・良寛堂の建立10周年記念特別企画として良寛、貞心尼のゆかりの地で8月11日に出雲崎町、9月24日に長岡市、11月5日に柏崎市でリレー講演会が開かれる。
同美術館と同じ運営の「道の駅 良寛の里わしま」の駅長でもある山田館長は「民間の活動として各地域の共通の宝、良寛に関係のある長岡市和島、出雲崎町、燕市の3地域にある3つの道の駅を結ぶ道の駅『良寛郷』構想を提案し、魅力発信に努め、人の流れや物流の環境整備の一助にしたい」と話している。
午前9時から午後5時まで開館、入館料は高校生以上500円、小中学生300円。問い合わせは良寛の里美術館(0258-74-3700)。