大雨被害の復旧作業に追われる人たちにおいしい食事でねぎらおうと10日、新潟県三条市の割烹料亭「遊亀楼 魚兵(ゆうきろう うおひょう)」は、関川村の被災地へ弁当を届けた。
1,000円で販売している銀鮭弁当90個を車に積み、関川村の土石流が発生した荒川右岸の湯沢地区に届けたあと、そこから下流側、藤沢川が荒川する地点の高田地区に届けた。3日の大雨からちょうど1週間。「三条からなんですか!」と見るからに高級な弁当に住民は大きな声で感謝していた。
高田地区の男性は、おにぎりなどをもらっているが、「おいしいものは力になる」、「集落の人に渡し、まだ1週間しかたってなく、長くなると思うので頑張っていきたい」と勇気づけられた。
「食事は正直、家の片付けをしたあと、また作ろうという気には全然ならなくて。食事があるありがたさを身に染みて感じている」と話す。
湯沢地区の女性は、まだ水が出ずに炊事ができない所もあり、「本当にこういうのをいただくとありがたい」とにっこり。「2日前も焼きそばを持ってきてくださった方がいて、熱いのを食べさせてもらってありがたかった」とさまざまな支援を喜んだ。
「魚兵」の社長、結城靖博さん(38)は、この2日前に高田地区へボランティアに入り、泥出し作業を手伝った。
被災地支援に取り組む一般社団法人ラブフォーニッポン(LOVE FOR NIPPON・広末順代表理事・東京都渋谷区)の理事で新潟支部長の斉藤巧さん(46)=三条市=とは知り合いで、斉藤さんは6日に燕三条地域の支援物資を村上市と関川村の被災地へ届けている。
結城さんが斉藤さんに被災地に水を届けたいと相談したところ、弁当の方が喜ばれるだろうとなった。「魚兵」の炊き出しのようなボランティアは今回が初めて。「久しぶりに食べる和食というリアクションをしてもらって良かった」と結城さん。「次回はまた頑張って持って来たい」と継続的な支援を目指していた。
この日はラブフォーニッポン代表理事の広末順さん(48)も現地入りし、ほかのボランティアと一緒に泥出し作業に汗を流した。「思いのほか道路が大変だったと聞いたが、早く土砂がなくなって良かった」と言い、「ボランティアセンターにもお邪魔して状況を把握し、届けられるものがあれば届けたい」と話した。