新潟県三条市は24日、LGBTなど性的マイノリティーの同性同士の婚姻が認められていないなかで、カップルの関係を市として認めるパートナーシップ制度を9月1日から行うと発表した。県内では先に導入した新潟市に次いで2例目となる。
パートナーシップ制度は、戸籍上の同性で互いを人生のパートナーとして日常生活で相互に協力し合うことを宣誓することで、結婚に相当する関係と公的に認める。あわせてカップルの子ども家族として認めるファミリーシップ制度も同時にスタートする。
認められることにより、子どもの保育所の申し込みや教育保育給付認定の申請をもう一方のパートナーが保護者として申請できる、住民票の続柄をパートナーは「縁故者」、ファミリーは「縁故者の〇〇」と表記できる、家族として市営住宅に入居の申し込みができる、委任状なしで世帯員の住民票を取得できる、障がいのあるパートナーのために使う軽自動車の軽自動車税の減免申請ができるなどの行政サービスを受けられる。
三条市を拠点とするLGBTなどの啓発団体「PRIDE LINK(プライドリンク)」(羽賀風真代表)が7月27日にパートナーシップ制度導入を求める要望書とインターネットなどを使って集めた2300筆余りの署名を三条市に提出したことが直接の引き金になって導入に踏み切った。
今後は10月に性的マイノリティーへの理解促進を図るフォーラムを開く。三条市役所としても職場として取り組み、市職員向けの研修を継続し、パートナー関係にある市職員の結婚休暇などの福利厚生を見直す。
また、3月に発表した三条市の申請書などにある性別記載欄を見直し、性別記載欄のあった様式299件のうちこれまで150件の性別記載欄を削除している。
滝沢亮市長は24日、パートナーシップ制度の導入について記者会見した。滝沢市長は2020年11月の市長就任以前から全国的なパートナーシップ導入の取り組みは把握していたと話した。
その翌月に母校の三条高校で藤田明美加茂市長と行った講演で、当時の2年生から三条市はそうした取り組みをしないのかと質問があった。その生徒の「多くの人の前で質問する勇気」に感心し、「地方でも待ったなしの課題と思った」。
また性的マイノリティーが差別的な扱いの心配については「制度の導入で市職員の理解を深めるきっかになればいい」、「われわれの考えや状況を市民に伝えるのがわれわれの責務と思っている」と述べた。