日本写真家協会会員で新潟県美術館連盟常務理事の写真家、五十嵐七郎(いからし しちろう)さん(75)=新潟市中央区=の初めての個展「五十嵐七郎展ー四季を彩る身近な風景ーが27日から9月25日まで弥彦村・弥彦の丘美術館で開かれる。
主に県内で撮影した写真26点を展示する。三条市の北五百川の棚田に咲くカタクリとサクラの花と、粟ヶ岳。出雲崎の漁港、西蒲区夏井のはざ木、越後松代棚田群の儀明の棚田など、県内の撮影スポットと呼べるような場所も五十嵐さんならではの視点でとらえている。
五十嵐さんのテーマは身近な風景。四季の自然にレンズを向けるが、なかでも春の撮影を好み、サクラを題材にした作品が好きで、西蒲区・上堰潟公園の夫婦桜や鳥屋野潟公園のサクラ吹雪といった作品も目立つ。
人の心を和ませる写真がキャッチフレーズ。遠くへ出掛けても天候や時間距離で地元に人や足しげく撮影に通う人にはかなわないのが、身近で何度も行ける被写体に追いかける。心がけるのは一期一会。今しか撮れないシャッターチャンスが最優先で、そんなポイントを探す。
開幕前日の26日は内覧会が開かれた。五十嵐さんに学び親交のある県内の写真愛好者などが来場した。五十嵐さんは作品の撮影のポイントやねらい、撮影に至った経緯やエピソードなどを1点ずつ解説した。
五十嵐さんは「きのうきょうまで緊張感とプレッシャーを感じていた」と言うが、「こうやって見ると自分の写真みたいじゃない」とギャラリーに照明に照らされた作品を見てほほえむ。
五十嵐さんは1968年に新潟フジカラーに入社。ずっと写真愛好者を裏方で支えたが、55歳のころに写真愛好者向け写真教室の新設運営を担当することになった。それをきっかけに本格的に写真を撮り始めたので写歴は20年と言う。
それ以前から写真を撮り、確かな写真の鑑賞眼をもっていたこともあり、次々と県展入選、県芸展や県写真芸術写真協会展で入賞と評価された。今も自分の写真だけにこだわらず、写真界のことを常に気にする。
「写真を見て楽しかったと思われれば、写真の業界に役立てるし、半ページでも前へ進めることができる」、「小さい写真で見ても写真の良さはわからない。大きくすればいい所も悪い所もはっきりわかる。写真の大きさはそういう威力をもっている」と五十嵐さんは写真の魅力を伝えている。
五十嵐さんは27日、9月4日、18日に来館予定。会期中は無休で毎日午前9時から午後4時半まで開館。入館料は高校生以上300円、小・中学生150円、小・中学生は夏休み期間中は無料。