全国的にもまれなチタンの鋳造技術でアクセサリーを製造販売するレジエ株式会社(浅野良二郎社長・新潟県三条市南新保)は、一度は企画がお蔵入りしていた三条市出身の全盲のシンガーソングライター、佐藤ひらりさん(21)に贈るネックレスを9日、1年越しでひらりさんに手渡した。
レジエの店舗を訪れたひらりさんに、ネックレスを贈った。このネックレスは、ペンダントトップに三条市の花「ヒメサユリ」を鋳造チタンでデザインした。ヒメサユリの開いた花とつぼみの2つを組み合わせたアイデアが特徴的だ。
着脱しやすいように留め具がなく、スライドさせて長さを変えられる「ラリエットネックレス」。パッケージの箱は、デザインも製造も三条市内で完結させた。ヒメサユリがモチーフの変形七角形で、これだけでも商品として成立するほどのクオリティーだ。
ひらりさんは「いろんな人の思いが詰まった製品。にいがた観光特使なので、この製品がみんながどんどん三条を好きになってくれるきっかけになれば」と喜んだ。デザインを担当した同社デザイナーの近江美果さん(28)は「ひらりさんに楽しんでもらうことにこだわって、おもしろいものをと考えた。あんなにひらりさんに喜んでもらってうれしい」と感激した。
このネックレスの企画の始まりは1年前にさかのぼる。昨夏の東京パラリンピックで国歌を歌う夢を実現したひらりさんの偉業をたたえ、三条市は11月にひらりさんに市民栄誉賞を贈った。
合わせて副賞にモノを贈ろうと準備を進めていたが、ひらりさんは三条市の子どもたちのために使いたいので、モノではなく現金にしてほしいと申し出た。それで幼児用滑り台1台を購入して三条市子育て拠点施設「あそぼって」に寄付したほか、子どもたちに演奏を聴いてもらおうと市内で開いたコンサートの費用などに充てた。
実はその副賞にと三条市が発注したもののひとつが、レジエのアクセサリーだった。レジエは副賞用にオリジナルのアクセサリーの企画、開発を進めていたが、キャンセルになったため、企画は宙に浮いたままになっていた。
とはいえ東京パラリンピックでのひらりさんの晴れ姿に受けた感銘をひらりさんに伝えたいと、国歌独唱から1年のタイミングでひらりさんにあらためてプレゼントしようと企画を再開し、完成させた。
もともと副賞がレジエのアクセサリーだったことや、現金に代えてもらったことでキャンセルになっていたことを初めて知ったひらりさんの母、絵美さん(48)はびっくり。「ご迷惑をかけてしまっていたことを知らず、申し訳ありません」と謝った。
浅野良裕常務は「三条市の花のヒメサユリを身に着けて郷土の誇りとともにステージに立ってもらいたい」と活躍を願った。このネックレスは通常販売せず、ふるさと納税の返礼品として限定販売することで三条市の発展につなげたい考えだ。