新潟県田上町で初めて行われている竹とあかりをテーマにしたアートプロジェクト「たがみバンブーブー2022」で大きな反響を呼ぶ竹林のライトアップ会場で15日、プレミアムな屋外レストラン「ダイニングアウト」が開かれた。町内の湯田上温泉の旅館の料理長が地元食材やタケにこだわって調理した一夜限りの美食をスペシャルは空間で味わってもらった。
湯田上温泉4旅館とカフェが田上にこだわった美食をふるまう
竹林の奥に席を設置し、ペアで募集した10人が参加。各旅館で調理した料理を運び込んでサービスした。
「ホテル小柳」の先付と前菜盛り合わせに始まり、「わか竹」の温野菜、「初音」のメイン料理、「末廣館」の御凌ぎ(おしのぎ)と椀物(わんもの)、最後に「山Cafe 一歩」の甘味。それぞれのおかみが料理の趣向やストーリーを説明した。
日本酒のペアリングも
田上産タケノコや食用菊のカキノモト、コシヒカリ、越の梅、生産が終わってこれが最後の田上ポークなど、可能な限り地元食材を集めた。各旅館の料理それぞれに加茂市の雪椿酒造や萬寿鏡酒造などの酒をペアリングした。
この日のためだけに作ったタケの器、タケでできた紙に印刷したお品書きなど食材以外にも手間をいとわず思いを形にした。食事のあとは地元「護摩堂太鼓」の生演奏。照明に照らされた幻想的な竹林の世界に包まれ、食事体験を通したインスタレーションのようだった。
超幸せな2時間だった
県内を中心に活躍するタレントの今井美穂さんも参加。「昔からの竹林をすごく新しい感じで料理と目で見て楽しめて超幸せな2時間だった。今後も継続できることを応援している」と感動していた。
このダイニングアウトを企画したのは、フードコーディネーターの佐藤千裕さん(46)=新潟市=。「田上の竹林の恵みを皆さんに体験していただきたいと思い、料理にも随所に田上のタケやササを散りばめた。各旅館が工夫していろいろな思いを入れ込んでくれ、すばらしいディナーになった」と各旅館に感謝し、大役を終えてほっとしていた。
田上町にとって画期的な取り組み
プロジェクトの中心的役割を担う「道の駅たがみ協働組合」の野沢幸司理事長は「田上町にとっては画期的な取り組み」と評価する。竹林のライトアップはピークで1日1500人も来場している。「商売をからめなかったのが良かったんじゃないか」と野沢理事長は分析し、「タケの田上を立証できたのではないか」とそのポテンシャルの高さを確信していた。