新潟市秋葉区の小須戸地域でアーティストに滞在し作品制作に取り組んでもらう「アーティスト・イン・レジデンス」を中心としたたアートプロジェクト「小須戸ARTプロジェクト2022」が11月16日(日)まで開かれおり、公募した4人のアーティストの作品が小須戸地域の空間に展示されている。
2013年に始まってことしで10年目になったプロジェクト。小須戸本町通りに新たに出店した店舗を中心に会場とし、地域外から招いた作家による滞在制作と作品を展示、公開している。
参加作家は公募して決め、制作費や滞在拠点の貸し出し、自転車の貸し出しなども支援して制作してもらっている。
ことしの参加作家は4人。長谷部勇人さん(38)=愛知県名古屋市=は、名古屋造形大学大学院を修了し、地域の特色や素材を活かした自作楽器を制作している。「栄森酒店」と「吉田菓子店」で、一度は絶えて復活した地元の伝統的織物「小須戸縞(こすどじま)」をボディーに張ったエレキギターとカキの木の板をボディーに使ったギターを展示し、試し弾きもできる。
藤田将弥さん(30)=岐阜県郡上市=は作曲家で、サウンドアーティスト、サウンドパフォーマー。愛知県立芸大で修士号、Royal Conservatory DenHague にてArtistCertificateを取得している。「町屋ギャラリー薩摩屋」で、圧力をかける感知するピエゾ素子を小須戸縞を張った板に取り付け、小須戸縞をこすって出る音を拾ってスピーカーか流す作品を展示し、異なる小須戸縞の音の違いを体験できる。
中村岳さん(56)=千葉県茂原市=は空中に自由に絵を描きたいと初期衝動に突き動かされ、空中をキャンバスに見立てて、縦横無尽に絵を描く。「うららこすど」のログハウスの裏手に地元で入手して緑、黄、赤などに着した角材を組み合わせた作品を展示している。
三本木歓さんは東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。場所のもつ固有の文脈や空間的な特質、既存のイメージなどを主題に多様な手法で作品制作を行う。第28回日本建築学会優秀修士論文賞受賞。今回は小須戸の三・八市(六斎市)をテーマに1週間ほどの滞在調査を行ったレポート「小須戸ARTプロジェクト2022」を「CAFE GEORG(カフェ ゲオルグ)」に展示している。
初日10月8日は作品解説と解説が行われた。7日から9日まで開かれた「燕三条 工場の祭典」の見学と合わせて来場した人もいた。群馬県高崎市から訪れた女性は、群馬県中之条町で開かれる中之条ビエンナーレで見たのと同じ作家が小須戸にも参加すると聞き、2018年から毎年、小須戸へ足を運ぶようになった。「参加作家が変わっても、小須戸の町の落ち着いた感じがじわじわと気に入っている」と、町ごと好きになっていた。
このあとは11月6日(日)に午前11時からと午後2時からの2回、町屋ギャラリー薩摩屋で藤田将弥さんによる作品解説やパフォーマンスが行われる。