20、21日の2日間、燕三条地場産業振興センターで開かれている日本海側最大級のものづくり系見本市「燕三条ものづくりメッセ2022」。出展している180社・団体の中から気になるブースをのぞけば、燕三条地域の製造業の今が見えてくる。
3Dモデリングで鉄を複合旋盤加工で削り出す
部品加工の(株)ワンロード(三条市福島新田)のスキャニングデータから3Dモデリングによって鉄を複合旋盤加工で削り出した右手。樹脂を積層して造形する3Dプリンタは軽いが、これは片手で持ち上げられないほど重く、3Dプリンターでは得られない重厚感、質感を表現できる。
また、振動吸収性に優れる2枚のマグネシウムに防振シートをはさみ込んだターンテーブルシートは、レコードプレーヤーのターンテーブルの不要な振動を抑える。価格は税込み7万円以上だが、マグネシウムが高騰しているだけに安いという人もあり、ことし7月に発売して好評と言う。
薄板の板金の溶接部分を研磨で滑らかに
溶接の(株)大倉製作所(燕市大川津)の酒樽(さかだる)を模したME樽(めたる)は、2ミリの薄いステンレスを張り合わせた全周溶接構造。溶接あとがわからなくなるまで研磨で滑らかに仕上げている。
安定した発色を確立したアルマイト
表面処理をはじめ金属加工の(株)東陽理化学研究所(弥彦村大戸)は、得意のアルミニウムを電解処理して酸化皮膜を生成させる表面処理、アルマイトの実例を展示。徹底した品質管理で安定した発色を期待できるのが強みだ。
黒染めをアウトドアギアにも
鉄の黒染めで知られる(株)テーエム(三条市金子新田)は、新たにアウトドアギアに進出。すでになたを販売しているほか、11月にクラウドファンディングを始める焚(た)き火台と火ばさみを専攻している。
オリジナルザクヘッドを14000番で磨き上げる
(株)今井技巧(燕市吉田下中野)のガンダムシリーズに登場するザクのヘッドをステンレスで作り、鏡面仕上げにした。手作業なのでどんな形でも研磨できることをアピール。しかもふつなら数千番手の研磨剤で十分なところ、14000番手で数百時間もかけて収益度外視で磨いたが、商品化の話もある。
大型の寸胴を底を溶接して加工を簡単に安く
ステンレス板金製品を製造する(株)ワクイ(燕市小池)は、直径80センチもある巨大な寸胴を紹介。プレスなら巨大なプレス機が必要なところ、銅と底を別々に作って溶接したので、加工が簡単で安価なのが特徴。胴は丸める筒状加工なので、高さを自由に変更できる強みもある。
溶接用遮光面にLEDを取り付けて課題解決
製缶や板金の(株)高賢(燕市八王寺)は、溶接の仕事の課題解決を自ら製品化した。溶接で強い光から目を保護するために遮光面を着けるが、遮光面をつけたままでは暗く見え、品物が見えづらく、1日何十回も遮光面を外す手間がある。そこでさまざまな遮光面に取り付けられる汎用型のLEDライトを開発した。4カ所のLEDライトで品物を照らすので、初心者でも作業がしやすく作業に集中できる。電源供給にモバイルバッテリーが利用でき、価格は2.5万円から3万円。
金型から製品をワンタッチで外して省力化
ロストワックス鋳造用金型や菓子用金型を作る(株)サンシン(三条市西本成寺2)。ロストワックで鋳造した製品を型から外す手間を省くため、ワンタッチで複数の製品を一度に外れる仕掛けの金型を開発した。ワッフルやおやきの金型への取り組みも広げている。
国際航空宇宙部品も手がける
真空成型・圧空成型のプロフェッショナルをうたう(有)山崎抜型(燕市蔵関)・(株)縁舞SPACAGENTは、国際航空宇宙部品に使われるカーボンを加工した部品など、高い精度や品質をアピールしている