新潟県三条市で6日、令和3年度成人式が行われた。ことし4月に成人年齢が18歳に引き下げられたため、20歳は成人年齢ではなくなったが、三条市では令和4年度以降も引き続き20歳を対象とした祝いの式典を「二十歳(はたち)を祝う会」に名称を変えて継続するため、「成人式」の名称では今回が最後となった。
三条市の成人式は3月の「春分の日」の開催を恒例にしているが、新型コロナウイルスの感染が拡大していたため、秋に延期して行われた。令和2年度の成人式も延期してことし1月に開かれており、ことし2回目の成人式ともなった。
出席率は前回を6ポイント以上も上回る71.3%
対象者は2001年4月2日から02年4月1日までに生まれた男518人、女484人の計1,002人。男386人、女328人の714人が出席し、出席率は71.3%。感染拡大が落ち着いているためか、出席率は前回の65.0%を6ポイント以上も上回った。
新成人の東京パラリンピックで国歌独唱の佐藤ひらりさんが国歌
午後1時に燕三条地場産業振興センターで開式。国歌独唱は、東京2020パラリンピック開会式でも国歌を独唱した三条市出身の全盲のシンガー、佐藤ひらりさん(21)=県立新潟盲学校卒=が務めた。ひらりさんは今回の成人式の対象者でもある。
式辞で滝沢亮市長は、焦らずに「ゆっくり、ゆっくり前に進んで行けば必ず道は切り開けていきます」とし、「皆さんと一緒にこの三条、そしてこの日本をもっといい国に、もっといい地域にしていけるよう、皆さんのパワーがこれからもっと必要になるかと思いますので、一緒にいい世の中をつくっていきましょう」と手を貸してくれることを期待した。
新成人代表で実行委員長の新潟県立大学人間生活部子ども学科3年・川沼成美さん(20)=下田中出身=は「大きくなり社会経験を積む中で、小さい頃からお世話になったたくさんの人たちの苦労や痛みがわかるようになりました。これからは人の痛みを分かち合い、辛いことも悲しいことも乗り越えていける優しいおとなになりたいです」と成人の言葉を述べた。
式典のあとは以前に行っていたアトラクションは今回もなく、出身中学校別に記念撮影が行われた。
式典の最中は秋晴れだったが、閉式後間もなく雨が降った。会場の入り口で騒ぐ人はなく、感染防止のため席をひとつおきに座ったこともあってか、式典中はまったくと言っていいほど話し声も聞かれず、厳粛な成人式だった。
滝沢市長の式辞と川沼さんの成人の言葉の全文は次の通り。
滝沢市長の式辞
皆さん令和3年度、三条市成人式、本当に多くの方がここに参加してくださって本当にありがとうございます。そして本当におめでとうございます。
また河原井県議、杉井県議、三条市選出の両県議、また多くの市議会議員の先生方をはじめ、多くの来賓の方々にご多用のなか、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。
皆さん、8カ月間、大変お待たせいたしました。多くの方が今週1週間、週間予報、天気予報を心配していたかと思いますけれども、皆さんの思い、気持ちが本当にお天道さまに伝わりまして、素晴らしい天気の中、この令和3年度の成人式を執り行うことができました。本当に皆さんの日の行いに感謝しております。
私は20分ぐらい前、12時40分、45分ぐらいに会場に着いて、皆さんのことを見てたんですが、そして今ここ、壇上で皆さんの顔を1人1人見ておりますけれども、本当に皆さん、マスク越しでありますけれども、輝いております。目が生き生きとしています。
本当に20歳、21歳のパワー、エネルギーというのがここまで伝わってきます。本当に皆さんこの2年半、まもなく3年になる、この新型感染症禍で大変な生活、青春時代、120%、150%、2¥00%エネルギーを発揮したい。
でもなかなかできないような生活が続いてるかもしれませんけれども、そのような中でも本当に皆さんのパワー、エネルギーというのがここに伝わってきますし、もっともっと今後もこのエネルギーをパワーを前に向かって発揮していただきたいなというふうに思います。
少しだけ、少しだけでもないですかね。16、17、年上の私から偉そうにひとつだけ皆さんにアドバイスをこの場でさせていただければというふうに思います。
皆さん今、大学に行かれている方、専門学校に行かれてる方、働いてる方、いろいろいるかと思います。
今後やはりどうしても焦るとき、周りの人がうまくいってるなと思うとき、隣の芝の方が青く見えるなと思うとき、絶対あるなと思います。苦しいとき、あると思います。私もありました。そのようなときにまだまだ皆さん、時間もあります。
多くの人に相談して焦ることなく、そして無理に前に進もうとせず、立ち止まって考えてみる。このようにゆっくり生きてもらいたいなというふうに思います。
今、情報化社会、皆さんはもう生まれたときから携帯電話があるような時代かと思います。多くの成功者がいろいろ、例えばインターネット上で活躍しているのが目にとまります。
皆さん方も焦るときが来るかもしれません。同世代の活躍に悔しい気持ちになるときが来るかもしれません。でもそのようなときも心配しないでください。ゆっくり、ゆっくり前に進んで行けば必ず道は切り開けていきます。焦らないでゆっくりその若さ、そしてそのエネルギーを大切に使ってもらえればというふうに思います。
もう少し難しい時代、大変な時代は続くかと思いますが、皆さんが活躍しやすいように少しでも明るい社会にしていくのが私をはじめとした、もう少し大人の役割かというふうに思っております。皆さんと一緒にこの三条、そしてこの日本をもっといい国に、もっといい地域にしていけるよう、皆さんのパワーがこれからもっと必要になるかと思いますので、一緒にいい世の中をつくっていきましょう。
保護者の皆さま、そしてご家庭の皆さま、本日は誠に成人式おめでとうございます。きょう、お子さま方の晴れの日をこのようにお迎えすることができて、喜びもひとしおかと思います。今後ともお子さま方のご成長を見守っていただければというふうに思いますし、我々としても最大限のサポートをしていきたいなというふうに思います。
結びに繰り返しになりますが、8ヶ月遅れの成人式、本当におめでとうございました。そして、今後、一緒にいい世の中をつくっていきましょう。本当におめでとうございます。
川沼さんの成人の言葉
成人の言葉。本日は、成人を迎えた私たちの門出に、このような素晴らしい式を挙行いただきましたこと、新成人を代表して御礼を申し上げます。新型感染症の感染拡大により、延期を余儀なくされた今回の成人式ですが、このような環境でありながらも無事に開催できたことを、実行委員として心から感謝申し上げます。
また、先ほどは三条市長滝沢亮様を始めご来賓の皆様よりをご祝辞を頂き、誠にありがとうございました。
私はこのまち、三条市が好きです。今の私たちがあるのは、三条市という素敵な場所があったからだと思います。市街地に行けば欲しいものが手に入り、少し車を走らせれば下田地区の自然豊かな環境に心癒されることが出来ます。
私たちは自然に囲まれたこのまちで様々なことを経験し、たくさんのことを吸収し、ここまで成長することが出来ました。晴れの日も、雨の日も激励したり、叱ったりしてくれた両親、うまくいかない日でも、優しくときには厳しくご指導してくださった学校の先生方、道ですれ違うと、大きくなったね」「おかえりなさい」と声をかけて家族のように見守ってくださる地域の方々、私たちの知らないところで、今日まで私たちを支えてくださった皆様にはいま、感謝の気持ちでいっぱいです。
最近は地域での交流が希薄になっていると聞きますが、私を育ててくれた地元下田地区では地域の方から通学時に笑顔で挨拶を返してもらったり、近所の子どもたちと外で日が暮れるまで一緒に遊んだり、地域の交流が盛んに行われていると感じます。
私は小さい頃、近所のお兄さんお姉さんにたくさん遊んでもらったことがとても印象深く、温かい人たちに見守られて育ってきたのだなとつくづく思います。たくさんの人に支えられ今こうして二十歳を迎えることが出来てうれしく思います。そしてこの想いを今度は自分がここ三条市で伝承していきたいと思いました。
大きくなり社会経験を積む中で、小さい頃からお世話になったたくさんの人たちの苦労や痛みがわかるようになりました。これからは人の痛みを分かち合い、辛いことも悲しいことも乗り越えていける優しい大人になりたいです。
私は現在、県内の保育士・幼稚園教諭養成校に通っており、保育士を目指して日々勉強中です。三条市の公立保育所で育った私はそこで出会った職員の方々にもいつか恩が返せる日が来ることを夢に見ています。
「ほどよく都会でほどよく田舎」なこのまちでのびのびと育つ子どもたちと一緒に私も出来たら嬉しいです。
最後になりますが、今まで私たちを支えてくださった全ての方に、そして、私たちを成長させてくれたこの三条という地に、この場を借りて深く感謝いたします。
今日から晴れて大人の仲間入りですが、まだまだ未熟な私たちです。これからもどうか温かい目でご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。この成人式を節目に、努力を惜しまず成長し、これからも社会に貢献していくことを誓い、成人代表の言葉といたします。