今年度、すべての市内小中学校すべての便器の洋式化を進めている新潟県三条市。これを機に子どもたちから我慢しないで学校のトイレを使ってもらおうと「学校のトイレでもうんちしやすくなっちゃう!?」ポスターを募集している。
ポスター作品は、市立の小中学校と義務教育学校の児童生徒が対象と、一般が対象の2部門に分けて11月1日から12月23日まで募集している。
TOTOとLIXILが協賛して副賞も
便器を製造するTOTOとLIXILが協賛しており、小中学生の部門は1図書カード1万円の副賞の市長賞1人をはじめ、それぞれ図書カード5000円が副賞の教育長賞、TOTO賞、LIXIL賞が1人ずつ、それに記念品を贈る出るで賞30人を決めて表彰。一般の部門は特賞1人だけ決めて1万円相当の三条産品を贈る。一般は全国、世界から誰でも応募できる。
三条市は今年度、市内28の小中学校と義務教育学校のうち、洋式化がされていた4校を除く24校の便器すべての洋式化を一気に進めている。
男子の小便器はそのままに、和式便器を洋式に交換。合わせてトイレの床の乾式化、温水洗浄便座、自動点灯照明、感染防止対策の自動水洗の設置工事も行っている。
事業費は約13億円で、うち4億2500万円が国の補助。すでに洋式化の対象の8割ほどが工事を終わって利用できる状態になっている。
担当職員の中2の長男がちらしの漫画を描く
せっかく洋式に改修しても利用されなければ意味がないが、学校でうんちをするのは恥ずかしい学校ではうんちを我慢するのは今も昔も変わらない。子どもたちが安心して学校でうんちができる雰囲気づくりになればとポスター募集を計画した。
“うんちポスター”のちらしの制作にあたり、経費節減もあって三条市教育委員会の担当職員が依頼したのは、中学2年の長男。担当職員が大まかな構成などいわゆる“ネーム”を描き、それを元に長男がタブレットで描いた。
3コマの漫画仕立て。ちょっと盛った感じのイケメンに描かれた滝沢亮市長が登場し「うんちを我慢なんて嫌な気持ちになるし体に悪いよ!!」、「だから私は学校でも子供達に安心してうんちをしてほしい!!」と訴える。子どもたちにも伝わりやすい表現でポスター作品を募集している。
ちらしは7,000枚を印刷し、市内すべての児童生徒に配布した。22日までに8点の応募があった。作品はうんちを顔などに見立てて擬人化し、うんちのマイナスイメージを取り除く内容が多いと言う。優秀作品は学校などに掲示する。
応募は1人1点までで大きさはA4判で手描きでもデジタルでも画材や技法は問わない。三条市教育委員会教育総務課(電話:0256-45-1117、メール:kyouikusoumu@city.sanjo.niigata.jp)へ。
memo
学校でうんちをするのが恥ずかしいというのは古くからある問題。最近の事情は知る由もなかったが、取材で担当者に聞くと今も変わらないと言い、女子でも恥ずかしいらしい。
どれくらい我慢しているのかと聞くと、データはないと言う。これには逆に驚いた。ずっと続いてきた問題なので、アンケートを取ってどれくらいの頻度で学校のトイレでうんちをしているかという数字はあると思っていた。
感覚に頼っているわけで、三条市が洋式化を進めても、これではうんちがしやすくなった効果が数字でわからないことになる。授業開始前に数分でも時間をもらえば簡単にアンケートはとれる。100人、200人くらいの母数でもそれなりの傾向が見てとれるはずで、そんなに手間がかかわるわけではない。
洋式化に13億円もの公費を投じるのだから、費用対効果を測定するのは当然な気もする。というわけで、「うんちしやすくなった効果」の可視化に期待。