新潟県三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)の春季例大祭で毎年5月15日に行われる三条祭りの大名行列で導祖神(天狗)を担う三条導祖神昭三同意会(鈴木直会長・会員16人)は13日、ことしの三条まつり200周年記念導祖神踏み出し着用足駄(あしだ)を文化財保存の意味も込めて三条市に寄付した。
三条導祖神昭三同意会の会長の呉服店などを経営する鈴木直さん(75)=三条市本町3=らが市役所を訪れて寄付した。
寄付した足駄は踏み出しの二枚歯
三条祭りの大名行列の天狗がはく足駄は、歯が1尺8寸、約55センチもあり、これほどの高下駄(たかげた)をはく天狗は全国的にもほとんどが例がないと言う。
大名行列で天狗は12、3人が交代して務める。八幡宮を出発して最初に歩く踏み出しの天狗だけが二枚歯で、それ以降はなぜか一枚歯の高下駄を順番にはく。印象とは逆に二枚歯は接地する支点が4つあって安定して着地しにくく、歯が多い分、一枚歯より重く歩きにくい。なぜ最初の天狗だけ二枚歯なのかわからないが、今回はその二枚歯の足駄を寄付した。
足駄は八幡宮が毎年、二枚歯と一枚歯をそれぞれ1足ずつ新調するのが慣例になっている。大名行列ではいたあとも、けいこなどに使う。すぐにだめになるわけではないが、三条祭りではいた足駄は翌年は使わずにお役御免になり、長年、天狗を務めた会員におさがりとして贈ることもある。
若い人が大名行列に興味をもつきっかけになれば
足駄を外部に寄付することはあまりないが、県庁や地元の旧三条小学校に寄付したことがあるほか、1973年の伊勢神宮第60回式年遷宮(せんぐう)で伊勢の猿田彦神社で行われた行事に三条の大名行列が参加し、あわせて足駄を奉納。鈴木さんは2013年の第62回式年遷宮でもその足駄が猿田彦神社に展示されいるのを確認した。
三条導祖神昭三同意会の会員は高齢化し、会員もだんだん減っている。鈴木さんは「後継者が不足しているので、若い人から少しでも三条祭り、大名行列に関心をもつきっかけになったら」と話した。
この足駄は13日から三条市中央公民館にガラスケースに納めて展示している。その後は市民の目につくほかの場所での展示も検討している。