新潟県三条市の西本成寺地区を拠点とする有志のボランティアグループ「西本成寺有志会」(五十嵐浩市会長・会員17人)は25日、ことしも門松9基を手作りして三条市内の福祉関係施設に届けて寄付した。
11月にタケノコの産地で知られる栄地区の吉野屋でタケを切り出し、12月に入ってタケを斜めに切りそろえて下準備。27日は西本成寺1の作業場で、そろえた材料を組み合わせて門松を組み立てた。
60代から89歳までの会員17人のうち12人が参加。西本成寺1の会員宅の作業場で作った。オイル缶を土台に3本の青竹を立て、縁起物のマツ、ユズリハ、ナンテン、センリョウ、マンリョウ、ハボタン、豆殻などを飾り、最後に「謹賀新年」とある紅白の紙垂(しで)も下がったしめ縄飾りを取り付けて完成だ。
できた門松は軽トラックに積み込み、三条市総合福祉センターと障がい者居住支援拠点施設「長久の家」に2基ずつ、特別養護老人ホーム「さかえの里」に5基を届けた。三条市総合福祉センターでは正面玄関前に2基1対を設置し、三条市社会福祉協議会の上石貞夫会長から感謝状を受けた。
同会は有志が地元本成寺保育園の草取りや冬囲いを行ったのが始まり。西本成寺を含む嵐南地区一帯が浸水被害を受けた2004年の7.13水害の翌年、05年に仮設住宅の被災者のためにお楽しみ会を開こうと発足した。保育園や福祉施設の草取りや泥上げ、冬囲いから、研修旅行やボランティア対象のイベントなどさまざまな活動を行っている。
ことしは後継者育成のためにも3代目会長を6年間、務めた石田節雄さん(73)が顧問に就き、代わって五十嵐浩市さん(67)=曲渕=が新会長に就いた。毎年のことだが集まる材料は年によって違う。「全体のバランスがいいようにする。皆さん、わーわー言いながらやってる」と五十嵐さんは話す。
門松作りは1年でいちばのイベントで新年を祝うあらたまった気持ちになる反面、「お墓が近くなったなと。門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなしという句がある」と五十嵐さんは笑い、「こうして門松を作って届けてありがとうと言われると、やってよかったと思う」と目を細めた。
周辺はまだ雪に覆われているが、作業中は日が差すこともあり、例年になく穏やかな陽気のなかでの作業になった。「ことしはナンテンがいっぱいあった。来年は難を転じるようにナンテンをいっぱいにした」と来年の平穏を願う会員もいた。