「文化財防火デー」の26日、新潟県三条市は午後1時半から市指定有形文化財3件を所有する寺院「海蔵院」(傳観雄住職・三条市如法寺)で防災訓練を行った。
文化財防火デーは、1949年(昭和24)1月26日に法隆寺金堂の壁画が焼損したことから定められた。この日の前後に文化財を火災から守るための活動が全国的に行われており、三条市でも毎年、文化財所有者を対象に防災訓練を行っている。
海蔵院では1977年指定の平安後期の「木造阿弥陀如来坐像」、2005年指定の鎌倉後期の「木造釈迦如来坐像」と元亨元年(1321年)の年号がわかる「板碑」を所有している。
前日25日は市内小中学校が臨時休校となったほどの大寒波が襲来しており、防災訓練の実施するかどうか検討したが、逆にどんな状況で火災などが発生するかわからないからと、あえて行った。
訓練では本堂の出火を想定してスモークをたき、傳住職が消火器で初期消火を行ったが消し止めることができず、119番通報する一方、避難誘導、重要品の持ち出しを行い、最後に三条市消防本部がタンク車で2つのホースの先を本堂に向けて放水した。
雪に覆われた境内で雪が降りしきるなかでの訓練。地域の人や檀家20人近くも参加して訓練を見守った。訓練後、傳住職は「火事はどこから出るかわからないが、注意を払っていきたい」と話し、22日に長岡市中之島地区で寺が全焼して住職が死亡した火災にふれ、「そういったことのないよう、地域の火災がないように皆さんも日ごろ気をつけてほしい」と願った。