「節分」の3日、新潟県三条市の法華宗陣門流総本山「本成寺」(門谷日悠貫首)で恒例の節分大祈願会の鬼踊りが行われ、善男善女が所願成就や事業繁栄の願いを込めて鬼に豆を投げた。
春の始まり「立春」前日の「節分」に行われる、春を呼び込む三条の名物行事。午前11時から地場産業振興祈願と午後2時から所願成就祈願の2回、本堂で法要が営まれ、そのあと「本成寺鬼踊り奉賛会」(小林敏文会長)が鬼踊りを披露した。
新型コロナウイルスの流行以前は、本堂は身動きでないほどの人であふれたが、ことしは昨年と同様、密集を避けるため本堂に入れるのは祈願者だけにしぼった。祈願者も本堂中央の内陣には入らず外側の外陣にパイプいすに座ってゆったりと陣取った。本来は三方に設置する舞台も本堂正面側の16畳の舞台ひとつだけと、感染防止対策を講じた。
午前11時からの法要では、不在の門谷貫主に代わって本山の鈴木顕正執事長が導師を務め、3人の僧りょが参拝者の間を歩いて頭の上で木剣を打ち鳴らして払い清めた。
鈴木執事長は、ことしは恵方は南南東で、厳しい寒さが続くが、「自分自身を強めるものと理解して、あすからの春を進んでいっていただければ」、そして「どうぞ力いっぱい鬼に豆をぶつけて悪魔を払い、福をいただけますうよに祈念した」と話した。
鬼踊りの説明のナレーションに続き、3人の僧兵がうちわ太鼓をたたいて「南無妙法蓮華経」と題目を唱えながら外から舞台に上がった。口上を述べ、なぎなたを振って気勢を上げて舞台を降りると、今度はドラや太鼓の音とともに金づちやおのを持つ赤、青、黄、緑、黒の5匹の鬼と僧都か三途川婆(そうずかば)の登場だ。
獣のように大きなうなり声を上げて踊り、大暴れして参拝者をおどかした。その迫力に泣き出す子どもも。同時に本堂前には別に4匹の鬼が姿を現し、集まった100人余りの一般参拝者の前で鬼踊りを演じた。
鬼たちが勝ち誇ったように大笑いしてまもなく、鈴木執事長の「鬼は外!福は内!」を合図に、祈願者は手にしたますの中に入ったいったダイズの福豆もいっせいに鬼に向かってまさに雨あられのように投げつけると鬼はばたばたと倒れて退散。このあとも本来は参道まで歩いて鐘楼堂で鐘をつくところ、本堂裏で「改心の鐘」をつくことで、つのが取れ、人間に戻ってめでたし、めでたしとなった。
退散する鬼に子どもを抱いてもらって写真を撮る人や華やかな和服で訪れた人もあり、「やっぱり節分はこうじゃないと」と風物詩に大満足だった。