任期満了に伴う新潟県・田上町議選(4月18日告示・23日投票)に、4コマ漫画イラストレーター「Kutsu(くっつー)」として知られる轡田禎(くつわだ ただし)氏(49)=原ヶ崎新田=が新人で立候補を決意した。「20年先の田上を考えよう!」がスローガン。田上の未来図を描き、その実現には「次の町長選に出ようかなと。その方が手っ取り早い」と思いは熱い。
1974年に田上町に生まれ、三条東高、山形大学へ進み、極真空手の指導員を15年間、務めて新潟へUターンし、新潟市の広告会社に8年間勤務。2019年に独立し、デザイン事務所「合同会社LFR design」、さらに中高生学習塾「青空塾」をおこしてそれぞれ代表に就いた。
加えて独立後に4コマ漫画を描き始め、2020年にアート4コマ漫喜利優秀賞、21年に4コマまんが大賞高知市長賞と全国公募展で受賞しているほか、三条市の4コマ漫画の教室の講師も務める。
昨年、田上町総合計画審議会の委員を務めた経験が背景にある。審議会で示された将来の田上町の人口推計のグラフは「ジャンプ台のごとく、まっしぐらに下がっていて、何かしないとまずいと思った」。現在1万1000人余りの人口が2045年には7390人と予測されている。
しかし、審議会では人口減少に対する危機感がまったくなく、あきらめていると感じた。「60代、70代、80代の人が何かぼんやりぼんやり論議していた。そこにもちょっともう1回、怖くなった」。人口減少対策については「病気を治すことはできない。今、流れている血を止めるしかわれわれにはできないと言われた。それでは献本的な解決にならないと思った」。
また、自殺問題についても田上町では平均して毎年4人ほどが自死している。「自殺ゼロを目標にしようと提案したが、ゼロは無理だからと却下され、ゲートキーパーとか手段の話をされた。それで食い止められるどうか疑問」。フラストレーションがたまった。
納得できない思いを言葉にしているうちに、知り合いの町議に「あれだがだめ、これがだめと言ったところで何も変わらない」と、町議選出馬を勧めらて気づいた。
「町議選という機会が来るなら、これは俺が出た方がいいんじゃないかなと、つい1月末に思い至った。今、慌てて準備している」と笑う。
田上町議の平均年齢は65.8歳であり、2045年に田上町の65歳以上の高齢化率が50.5%にもなることを心配する。ほかに出生率減少と転出超過による人口減少、健康寿命増進、産業活性化などを課題にあげる。町民が田上の魅力に気づいていないとも。
「情報発信するにしても、町議会という場があるなら、そこで言った方がいろんな人に伝わる」。ただ、「本当に町を変えるなら町長になった方がいいのは確か。三条市の滝沢市長のようにいきなり町長になる手もあったのかなと思っている」と志は高い。