大手便器メーカーのTOTOとLIXILまで巻き込んだ新潟県三条市の学校のトイレでうんちをしやすくするポスター募集の審査結果発表と表彰式が18日、三条市教育センターで行われた。
児童生徒が学校のトイレを安心して使えるよう市内小中学校すべてのトイレの洋式化を進めたのにあわせてポスターを募集。市立小中学校の児童生徒が対象の「子ども部門」238点、誰でも応募できる「一般部門」13点の応募があった。
「子ども部門」は市長賞の大橋歩佳さん(第二中1年)をはじめ、教育長賞に中山文乃さん(第二中1年)、TOTO賞に小林蒼依さん(保内小6年)、LIXIL賞に坂井優月さん(栄中3年)、「一般部門」の特賞に見附市・創進高校3年小林凪さん(三条市)のポスターに採用する5点のほか、「出るで賞」30点を決めた。
市長賞の大橋さんの作品は、洋式トイレに座った子どもを中心に「LET'S うんち」のキャッチフレーズと四方に広がったトイレットペーパー「恥ずかしい」、「ガマン」、「ダメ!!」などトイレを我慢する良くないイメージの言葉を書いた。
特賞の小林さんは3年生みんなで応募したと言う。トイレを我慢して泣いている「うんぴー」の手を引いてトイレの妖精が「うんぴー、トイレ行きたいってサ。」。「がまんせずトイレへLet's go!」とも書いたかわいいデザインで、タブレットで制作した。
表彰式では賞状と副賞として「子ども部門」に最高1万円分の図書カード、、「一般の部」は1万円相当の三条産品の目録を贈った。ポスターに採用の5点は、それぞれ1枚ずつをセットにして市内すべての小中学校に1セットずつ配布し、掲示してもらう。「出るで賞」には記念品を贈ほか、応募者全員に参加賞として協賛のTOTOとLIXILからボールペンか水筒か定規を贈る。
表彰式で滝沢亮市長は、ポスター募集を行った経緯を話した。中学校2年生女子の父からの市長へのたよりがきっかけだった。2年生のフロアに洋式トイレが1台しかないため、休み時間になるとみんなが洋式トイレに並び、10分間の休み時間では足りずに授業開始に間に合わない状況を改善してほしいというものだった。
滝沢市長も年少の長男をもつが、友だちや知り合いから小学校へ入って初めに習うのが和式トイレの使い方だと聞かされた。
「教育内容について注目してきたが、学習の前提となる基本的な生理現象についてちゃんと整備しない充実した教育ができない、学びの場にならない」と今年度、市内24の小中学校にある和式トイレ488台をすべて洋式トイレ化する事業を一気に行い、1月で完了した。
これを機に意識啓発、学校でうんちをしやすい学校にしていこうと、教育委員会のメンバーと話してポスターを募集。さらに発信力を高めようとTOTOとLIXILから協賛してもらった。
「学校のトイレでもうんちやすくするわたしたちの思いが全国にも伝わったのかなと思う。三条市が学びやすい環境、勉強しやすい環境、遊びやすい環境にどんどんこれからも進めていきたい」と応募を喜んだ。
TOTO信越市場開発課・黒瀬康久課長は「自分の小学校の子どもも我慢している」、LIXIL営業本部甲信越支社長岡営業所・小林達実所長は「ほかの市町村にも広げていただければ」と話した。2人とも学校でうんちをしやすくするポスターの募集はこれまで聞いたことがないと言い、三条市の目の付け所に感心していた。
また、三条市ではポスター募集に合わせて「学校でうんちアンケート」を行った。694人から回答があり、「学校のトイレがきれいになっる前と後で、うちに行きやすくなったか?」の問いでは「行きやすくなった」が40.3%にのぼった一方、「変わらない」56.6%と過半数はトイレ環境が改善されてもトイレに行きやすくならなかったことがわかる。
「きれいになった後、あななた学校でうんちを我慢したことがありますか?」の問いでは「ときどきある」10.5%、「よくある」5.0%と合わせて15.5%が我慢したことがあり、引き続きトイレへ行きやすくなる啓発などを行う必要性があることもわかった。
また、「学校でうんちを我慢する理由は?」の問いは「落ち着かない」、81人を最多に「恥ずかしい」76人、「友だちに知られたくない」65人、「休み時間内で間に合わない」61人、「トイレが汚い」55人、「トイレが臭い」41人、「友だちにからかわれる」24人、「緊張する」18人の順に多かった。