新潟県燕市はB&G財団(前田康吉会長・東京都港区)の「ふるさとゆかりの偉人マンガの製作と活用事業」の助成を受けて、燕市にゆかりの偉人、幕末の私塾「長善館(ちょうぜんかん)」(1833-1912)を創設した儒学者、鈴木文臺(ぶんたい)(1796-1870)をモチーフにした偉人マンガ『鈴木文台』を3月10日、発刊する。
燕市と長岡市にまたがる大河津分水は昨年、通水100年を迎えた。それを記念して燕市はさまざまな事業を行い、今回の出版もその一環。当時、東洋一の大工事と言われた大河津分水の建設には、長善館の門下生が多くかかわった。
燕市偉人漫画制作実行委員会が監修した。筑波大学の中野目徹教授、長善館史料館長、地域識見者、小学校長、図書館司書らで構成する。
作画は新潟市在住の漫画家、児玉直樹さん。日本アニメ・マンガ専門学校の元講師で、NHK新潟放送局のキャラクターデザインや県内企業の漫画制作、4コマ漫画などの執筆など多方面で活躍している。
1,500冊を作成し、小学校の授業用に650冊、クラスに配布600 学校図書館用に230冊、3つの市立図書館に20冊を配布する。
事業費は約550万円で、B&G財団から300万円の助成を受けた。このあと増刷して夏ごろに1冊700円で一般販売する予定だ。
B&G財団は、郷土ゆかりの偉人を知り、ふるさとへの愛情と理解を育むことを目的に2021年度から「海洋センター所在自治体によるふるさとゆかりの偉人マンガの製作と活用事業」を行っている。21年度の全国30自治体に加え、22年度も30自治体の選定し、燕市もそのひとつ。燕市には燕市B&G海洋センターがある。
22年度は燕市のほかに、新潟市も大河津分水路の開通に尽力した新潟市南区ゆかりの偉人「田沢実入」、胎内市が鎌倉時代初期に活躍した城一族(平氏)の女性武将の「板額御前」で助成が決まった。
燕市には、長善館の功績を伝える史料を展示する「長善館史料館」がある。長善館にかかわる漫画としては、2011年に長善館の門下生のひとり、日本医科大の前身の済生学舎を創設した長谷川泰(たい)を敬慕する「長谷川泰を語る会」が御当地伝記マンガ『長谷川泰ものがたり』が出版されている。
また、文臺の肖像画は、2012年に燕市が発行した「つばめっ子かるた」の「ち」の読み札「長善館 心受け継ぐ つばめっ子」の絵札に新潟市出身の絵本画家、黒井健さんが描いている。