新潟市古町地区に60分10円のコインパーキングが出現した。周辺の駐車料金の数十分の一という目を疑う安さで反響を呼んでいる。
このコインパーキングは「クリエス・パーキング新潟西堀前通8番町」。西堀通りに面して「ホタル イタリア軒」の斜め向いにある。細長いスペースに車5台分の駐車スペースがある。
入り口の看板には、「基本料金60分」が大きく赤い字で「10円」とある。真新しい看板で、文字が消えたという感じはない。近隣のコインパーキングは日中60分で400円ていどが中心。比べものにならない安さで、何かからくりでもあるのではと疑ってしまうが、どこからどう見ても「10円」だ。
最大料金の設定はなく、連続駐車時間は48時間まで。料金の支払いは現金を使えず、電子マネーかクレジットカードのキャッシュレスに限る。24時間駐車でも240円。勤め先の駐車場として1日10時間駐車で20日使っても2000円と破格だが、「空き」にはめったにお目にかかれなさそうだ。
このコインパーキングを運営するのは、新潟土地建物販売センター株式会社(川上創社長・新潟市中央区女池2)。同社は運営しているコインパーキングを「クリエス・パーキング」としてリブランド化を進めており、ことしで3年目。新潟市内を中心に県内22カ所のコインパーキングを運営しているが、後発なので他社と差別化を図ろうとキャッシュレス化を進めた。
最初の1、2年は様子見しながら段階的にキャッシュレス化し、この1カ月ほどで一気に進め、すべてのコインパーキングのキャッシュレス化を完了した。
「タイミングを見計らっていました」と川上社長はこともなげに話す。西堀前通8番町のコインパーキングの土地は自社の所有で、これまでもコインパーキングだった。料金は周辺の相場と変わりなかったが、クリエス・パーキングに生まれ変わって1日、新たにオープンしたのにあわせて60分10円に料金設定した。オープン特別価格ではなく、基本的にこの料金を続ける。
もちろん採算は度外視だが、川上社長は「話題づくりで、古町の活性化の一翼を担いたいという思いがある」と言う。実際、すでにSNSなどでは60分10円のコインパーキングの情報が拡散。川上社長のねらい通りに進んでいる。
さらにキャッシュレス決済しかできないので、キャッシュレス文化になじんでほしいというねらいもある。
これは第1弾の仕掛け。第2弾は古町に所有するビルを使った話題を投下する予定とのことで、次の1手も注目を集めそうだ。