新潟県三条市は、1月から3月まで11回コースで三条市中央公民館を会場に「わくわく文化未来塾」の教室のひとつ、ジュニア将棋教室を開いており、2月26日は名だたるプロ棋士が愛用しプロ棋士のタイトル戦でも使われる「竹風駒」を作る三条市の大竹日出男さん(79)が特別講義、プロ棋士の千葉幸生七段(44)が指導対局を行った。
毎年、小中学生を対象に開設している将棋教室。駒の動かし方から対局まで指導する。ことしは15人が受講。この日はそのうち小学校3、4年生7人が出席した。
大竹日出男さんは、竹風駒の歴史や狂いのない駒を作るために伊豆七島の御蔵島の原生林で伐採されたツゲを5年以上、乾燥させてから使っているこだわりなどを話した。同時にとなりで共同作業で竹風駒を作る弟の大竹健司さん(68)が竹風駒の製作実演を行った。
その後、前々日に王座戦一次予選を戦ったばかりの千葉七段が四面打ちで受講生と指導対局を行った。
王将戦で六冠を目指す藤井聡太王将と100勝を目指す羽生善治九段の対戦が注目を集めている最中でもあり、子どもたちは目を輝かせて大竹さんの話を聞き、千葉7段と対戦していた。
大竹日出男さんは、最高峰の将棋駒を生み出しているが「おじさんが目指している人は、はるか向こうにいる。その人に少しでも近づきたいと思って毎日やってるが、なかなかたどり着けない。だから毎日、一生懸命やってる」と飽くなき向上心を話した。
「歩」は前に一歩一歩しか進めないが、敵陣に入ると「と金」に成り、斜め前にも横にも後ろに進めるようになる。「おじさんも50年たって少しずつ前に一歩一歩、進んでここまで来ている。君たちはこれからどんなに偉い人になるかもしれないが、一気には行けない。一生懸命、前へ、前へ、一歩ずつ進んで偉い人になってほしい」と子どもたちに託した。
大竹日出男さんは、羽生さんとは年賀状をやり取りする仲。羽生さんは竹風駒を愛用していることで知られる。藤井さんとはまだ会ったことはないが、藤井さんは祖父から竹風駒をプレゼントしてもらったと聞いている。
藤井さんは棋王戦第3局の前日、4日に新潟市で行われる開会式に出席する。大竹日出男さんは前夜祭などに招待されており、藤井さんと会うことができればと、楽しみにしている。
年齢のこともあり、「予約を受け付けるが、申し訳ないけど確約はできないよと。作れなくなったら勘弁してねって言ってる」とも話していた。