新潟県三条市・まちなか交流広場「ステージえんがわ」の食堂「三条スパイス研究所」が提供するスパイスカレーは、カレーファンをうならせる。急速冷凍技術でそのできたての味をそのまま閉じ込めた冷凍カレー第1弾「フレッシュターメリックチキンカレー」(一人前200g・税込み880円)が誕生した。
三条スパイス研究所は「ミシュランガイド新潟2020特別版」に掲載された名店。「フレッシュターメリックチキンカレー」は、「フレタメ」とも呼ばれる店の人気ナンバーワンメニューで、三条市下田地区で栽培されるスパイス、生ウコン(ターメリック)をはじめ、マスタードシード、クローブ、シナモン、ホールスパイスなど10種類以上のスパイスを調合する。
主流のレトルトカレーは100度以上の蒸気や加圧熱水で加熱するためどうしても品質が変わるのは避けられない。しかし一気に-35度〜-40度に冷却して凍らせる急速冷凍は、できたてを閉じ込める。香りが命のスパイスカレーとは相性が良く、特徴的な生ウコンのさわやかな香りを家庭で再現する。逆に店では大鍋で調理するので、時間の経過とともに“できたて”は失われるので、店と同等か場合によってはそれ以上とも言う。
この冷凍カレープロジェクトは、三条スパイス研究所を運営する株式会社リトモ(新潟市西蒲区岩室温泉)と自然派食品の「ナチュレ片山」などで知られる片山商事株式会社(新潟市東区紫竹山卸新町)、特定非営利活動法人のんぴーり青山の会(新潟市西区小針)の3者による共同事業で取り組んだ。
ナチュレ片山が2017年にオープンし、21年6月に冷凍作業場を開設し、製造を開始した。片山商事の片山政博社長から親しかったリトモの熊倉誠之助代表取締役にも急速冷凍食品の商品化をもちかけた。
製造を担当するのは、のんぴーり青山の会。新潟市内に主に知的障害者のための3つの就労継続支援B型施設を運営しており、その利用者10人がローテーションを組んで作業場へ出向き、調理からパッキングまで行っている。
13日に三条市の図書館等複合施設「まちやま」で新商品発表会が行われた。熊倉代表取締役は「飲食業界に何かできないかと考え、家庭に届けるものには何がいいかと考えてこのカレーにたどり着いた。外食産業があらためて挑戦できるものをと。コロナ禍前には戻らない。飲食業の新しい形を模索していけたらいい」。打ち豆と干し野菜のカレーや定番カレーなど急速冷凍食品のシリーズ化を目論む。
片山社長は、これから後期高齢者が増え、女性は共働きで家でゆっくり料理ができなくなり「行ってみたかった店の味を家で食べられるように変化すると思った」と話し、ナチュレ片山の「健康生活を応援します」というコンセプトにも合致する急速冷凍食品を進めている。
のんぴーり青山の会の菅原友香主任指導員は、冷凍カレーの作業は「利用者が取り合いをするほど、この作業が好きな人がいる」と利用者の励みになっていることを喜ぶ。
「フレッシュターメリックチキンカレー」は、先行して10日ごろから三条スパイス研究所や「道の駅 国上」(燕市国上)、「そら野テラス」(新潟市西蒲区下山)で販売しており、まもなくオープンする公式ECサイト「https://spicelabo.net」でも販売する。