新潟県燕市は19日、燕三条地場産業振興センターでこれまでの「成人式」に代わる「二十歳のつどい」を初めて開いた。新型コロナウイルスの感染防止のため、過去3回は予定を延期しての開催だったが、4年ぶりに予定通り恒例の3月の第3日曜の開催となった。
対象738人のうち市内455人、市外45人、県外41人の541人が出席し、出席率は73.3%。前回の69.7%を上回ったものの、感染拡大前の2019年の84.1%と比べる10ポイント以上も低かった。また、意外にも県外からの出席は前回の51人より10人少なかった。
感染防止もあって席はひとつおきにし、保護者は見学できなかった。絶好の青空に恵まれた。はかまで騒ぐ人もなく終始、華やかな振り袖や笑顔のなかでも厳かに進行。マスクの着用は求めなかったが、マスクを着けていない人は1割もいなかった。
鈴木力市長は式辞で、プロ野球で昨シーズン、史上最年少の三冠王に輝いた東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手の言葉「年齢や年数はプロの世界で試合に出ている以上、関係ない」を紹介し、「プロの世界を社会と置き換えてもいい」。
燕市のようにものづくりのまち、東大阪で売れ育ったヒロインが夢に向かって挑戦を続けていく放映中の朝ドラ『舞い上がれ!』にふれ、「ピンチに直面しても誰かのアドバイスで乗り越えることができたり、ひとりではできないことを仲間と協力すればできることがたくさんある」。東京で開催している燕市出身者などを対象としたイベント「東京つばめいと」をことしは大阪で開くことも紹介した。
「皆さんのような若者の力が必要。世代を超えて燕市に生まれ育った仲間同士がスクラムを組んで日本一、輝いているまちをつくっていくことができたらこんなに素晴らしいことはない」と期待した。
最後に主人公におさなじみの同級生がはがきに書いた短歌「君が行く新たな道を照らすよう千億の星に頼んでおいた」を自身から二十歳へのエールとして贈った。
二十歳の代表が「二十歳の決意」を述べた。武蔵野大学2年高橋克門さん(20)=燕北中出身=は「これから先たくさんのことができるようになると同時に迷い、葛藤を抱えることも多くなるだろう。そんなときこそ私は自信をもつことを大切にし、エネルギーにあふれている今の自分を忘れずに乗り越えていこうと思う」
東洋大学3年長谷川千尋さん=燕中等出身=は、「(感染禍は)私たちの試練とは思っても、足かせにはなり得ない。まだまだ未熟者だが、今までに培った経験を、これから増える体験を、今までに出会った、そしてこれから出会う多くの人々の支えを、すべてを糧に私たちは歩んでいく。その過程で私たち自身もまた誰かの支えになればきっと今よりも胸を張れるようになる」とそれぞれ述べた。
式典のあとアトラクションの景品抽選会や出身中学校別の記念写真撮影などが行われた。