新潟県三条市の三条商工会議所青年部(山村興司会長)が、地域の未来を担う子どもたちに仲間と助け合うことやみんなで力を合わせて目標を達成することの大切さを伝えようと、青年部が生んだご当地ヒーロー「燕三条戦隊スーパーカジレンジャー」を主役にした絵本『カジレンジャーとまぼろしのひめさゆり』を制作した。
燕三条戦隊スーパーカジレンジャーは、燕三条地域のPRを目的に2016年に誕生。それ以前に存在した「鍛冶レンジャー」の後輩にあたり、キャラクターショーやイベント出演で燕三条をPRする使命を果たしている。
レッドとブルーの2人組。絵本では行方不明になったレッドをブルーが探しに出掛ける。「桃太郎」のように道中で燕市の金属洋食器をモチーフにしたキャラクターを引き連れ、本成寺の鬼と戦ったり、三条凧合戦の凧(イカ)に捕まって空を飛んだり、燕おいらん道中のおいらんも一緒に燕三条の名物で腹ごしらえしたり。
ほかにも八木ヶ鼻、カモシカ、背脂ラーメン、カレーラメン、キャンプ、ヒメサユリ、大河津分水と燕三条の名所、名産、名物などがたくさん登場。読めば自然に燕三条の知識が頭に入る仕掛けだ。A4判より一回り小さいサイズで本文だけでたっぷり26ページと読みごたえがある。
絵と文は、デザイナーでイラストレーターの「シロイオナカ デザインオフィス」代表、あだちあさみさん(40)=新潟市中央区=。代表作シリーズに『おむすびちゃん』(新潟日報事業社)があり、これまで8冊の絵本を手がけている。
制作費は青年部の予算や協賛金、クラウドファンディングなどでまかない、140万円で1千部を印刷し、3月3日に発行した。地元の学校や図書館で絵本を活用してもらおうと、三条市と燕市に寄付するほか、1冊税抜き1,500円前後で販売を予定している。
22日は市役所を訪れて滝沢三条市長に寄付する絵本を手渡した。三条市への寄付は、市内全小学校と義務教育学校20校、市内全保育施設41施設、全市立図書館5館に1冊ずつの計66冊。滝沢市長は「夜、子どもに絵本を読んでるのでさっそくきょうから読みたい」と感謝した。
山村興司会長(44)は「絵本を読めば子どもたちが自分たちの地元ってどんなとこなのか、燕三条はどんなとこなんだろうというのが何となくわかるので、すごくいいんじゃないかと思う」とアピールした。
あだちさんは、おもしろく興味を読んでもらえるよにしようと青年部からアイデアを出してもらったと話した。「つくっているわたしたちが楽しくなければ楽しいものはできないよねと、私たち自身が結構、楽しみながら作れた」と言い、「絵本だけじゃなく実際に会いに行けるところが子どもたちにも夢を与える部分で、おもしろいと思う」と自信作だ。
担当したDX広報委員会の佐藤典保委員長(33)も「少しでも子どもたちが燕市を知るきっかけになればいい」と願っていた。