山手で管内が隣接する新潟県の加茂市・田上町消防衛生保育組合と五泉市は29日、消防相互応援協定を締結した。五泉市と加茂市、田上町の境界にまたがる山での山岳救助などでの相互の消防力の活用などで備える。
五泉市と加茂市、田上町は、護摩堂山の下を通る県道55号新潟五泉間瀬線や県道67号村松田上線の大沢峠、国道290号でつながり、山岳地帯では宝蔵山や白山で境界を接する。
協定では、互いの管内で火災、救急、救助で災害の拡大、あるいは多くの人命救助が必要な災害が発生したときに、相互の消防力を円滑で速やかに活用し、被害を最小限に防止するのが目的。4月1日に発効する。
加茂市・田上町消防衛生保育組合の管理者の藤田明美加茂市長と副管理者の佐野恒雄田上町長、田邊正幸五泉市長が協定書の調印を交わした。
ことし2月の市長会で田邊五千市長から協定締結の話をもちかけた。五泉市では、市の北側と接する阿賀野市とも4月1日に発効する同様の協定を結んだ。同様に西側で接する加茂市と田上町との協定をと取り組んだ。
昨年6月21日に五泉市管内の護摩堂山で登山者が滑落。五泉市消防本部で無事に救助した。こうしたことをきっかけに、加茂市、田上町と協定があればスムーズに災害対応できるのではないかと声をかけた。
また、県道55号新潟五泉間瀬線は、五泉市橋田地区から田上町湯田上温泉までの区間が新潟市にも近いのに冬期間は通行止めになる。協定を結ぶことで重要路線であると知らしめたいねらいもある。
田邊五泉市長はあいさつで、空前の低山ブームで護摩堂山、高立山、菩提寺山の「西山三山」をはじめ地元の山々でハイカーや登山者が増えて山岳事故も増えていくことも予想しており、「その意味でもとなりの田上町、加茂市と応援体制を確立すべくお願いした」とし、「となり同士の付き合い、支援体制を構築していき、この広域の市民の安全安心を守っていきたい」と期待した。
藤田加茂市長は「地震など自然災害が多発し、単独の消防力で対応するのが困難なケースも増えているなか、平時からの連携体制の強化が重要」、佐野田上町長は「五泉市とはとなりでありながら交流が少なく、近くて遠い関係だが、これをひとつのステップも行政的な交流が深まればありがたい」と話した。