新潟県三条市は31日、市役所で若山裕副市長(67)の退任式を行った。若山副市長は職員として37年間、さらに2017年から国定勇人前市長のもとで副市長に就任、さらに滝沢亮市長に代わって21年7月に再任されたが、任期を2年半近く残してこの日付けで退任した。
退任式には100人余りの職員が集まった。若山副市長はあいさつで、2017年7月に国定勇人前市長と副市長の選任を受けてから5年8か月で副市長を務めたことから話した。「職員の力を私のもとにひとつにまとめ、できるだけ大きくして、それを市長のところに届け、これが副市長としての最大の役割だと思ってやってきた」と心がけてきたことを話した。
「厳しいと言われながらも、皆さんから最後の最後まで、副市長室に足繁く通っていただき、私の方に顔を向けていただき、そのおかげで私をこうやって今まで務めることができたし、市長を支えることができた」と感謝した。
職員として37年間務め、副市長を通算すると43年近く、三条市に奉職した。一貫した夢は、市民から「一生懸命、私たちのために頑張ってくれると、おほめいただけるような三条市役所にする」こと。自身は結果を評価する立場にはないが「私自身の思いは終始一貫、貫くことができたなと満足している」。
残る職員には、嫌なこと、辛いこと、くじけそうなことがあっても「しっかり顔を上げて前を向いて胸を張って三条市の職員としての誇りを持ち続けて頑張ってほしい」と求め、「多くの仲間たちとともに仲間と一緒にやればつらいことは半分になるし、喜びは倍になる」とアドバイスした。
庁内の連絡に使っていた「LINE WORKS」アプリをこの日、登庁して削除したことを明かした。「滝沢市長就任以降、さんざん聞かされてきたピロリン、ピロリンを聞かずにすむかと思うとほっとする反面、これで雨だとか雪だとか、市長への頼りだとかいっさい気にしなくてもいいんだなと思うと、やはり一抹の寂しさを覚えた」。
翌日からは「単なる若山裕個人になる」が、肩書きがなくなった途端に誰も来なくなったでは寂しいので「あす以降は厳しさのかけらを感じさせることのない、何を言われてもにこにこしている好々爺になるべく、精進を重ねてまいりたいと思っているので、ぜひ皆さんには時々、私の安否確認をよろしくお願いをする」とウイットに富んだ表現で笑わせ、あらためて関係者に感謝の言葉を贈って締めくくった。
滝沢市長はあいさつで、三条の大先輩から政治家はアイデアだけじゃだめで、しっかりと市民の声を聞いて地に足に着いたことをしっかりと前に進めていく、実行し、実現していくことと指導、指摘を受け、「ふとその話したときに、若山副市長の顔が頭に浮かんだ」ことを話した。
「私が単純に思いついたアイデアを実行に移し、成果に結びついてるのも若山副市長がどのようなメンバーで、どのように現実的に前に進めていったらいいかを私の見えないところでしっかりと担当の部長だったり課長だったり、職員の皆さんにわかりやすく明確に指導し、リーダーシップをもって進めたおかげ」とあらためて感謝した。
2年半前に右も左もわからずに市長に就き、「ここまでやってこれたのは本当に若山副市長のおかげ」と感謝の言葉を重ね、「市長、副市長という立場でいただきたいところだが、明日からも引き続き三条市民として、また三条市役所の大先輩、大OBとして私をはじめ職員全員に変わらず厳しくも優しい愛のある指導をこれまで通りいただきたい」と願った。
若山副市長は、退職辞令を受けた職員と一緒に昼食のあと正面玄関から退庁。階段で滝沢市長とツーショットも撮り、集まった職員の大きな拍手に送られた。