新潟県三条市のふるさと納税の昨年度の寄付金額が50億円を突破した。前年度の約15.1億円に対し約3.3倍。年度当初に掲げた目標の25億円を達成するどころか大きく上回って2倍になり、寄付件数も20万件を超えて前年度の3.6倍になった。
11日の滝沢亮市長の定例記者会見では、50億円突破を祝うくす玉割りのパフォーマンスを行った。公募して任用したふるさと納税を統括する澤正史CMO(チーフマーケティングオフィサー)が持つくす玉のひもを滝沢市長が引くと、「祝 ふるさと納税 50億円突破」とある垂れ幕が下がった。
2021年10月に澤CMOが着任し、22年4月に市役所職員でチームを編成し、ふるさと納税の運用をスタートした。20年度の寄付額は7億円で、澤CMOにとっては助走だった21年度で早くも2倍の15億円、そして昨年度の50億円突破と跳ね上がった。
澤CMOに課せられた昨年度の必達目標は25億円。それをいい意味で倍返しの50億円突破という数字を残した。
滝沢市長は1年の短い期間で大きな成果をあげたとし、「三条市内の事業者にふるさと納税の理念を説明し、制度への理解をいただき、新規事業者開拓、新規返礼品開拓に注力してきたことが、地域の特色を生かした返礼品の提供につながった」と分析、三条市への応援に感謝した。
21年11月からアウトドア用品の人気ブランド、スノーピークの商品を返礼品として出品を始め、出品するたびに先着順でたちまち完売する反響を呼ぶなど、アウトドアメーカーが集積する「アウトドアの聖地」ならではのアウトドア関連の返礼品を充実させたのが奏功し、寄付金額全体の58%を占め、寄付金額の増加を大きく牽引した。
今年度は目標を設定していないが、滝沢市長は「これまで以上にきめ細やかに事業者と連携し、三条市ならではの返礼品の提供につなげられるよう事業者とともに新たな気持ちでスタートしていく」と述べた。
また、澤CMOは自身のnoteに「なぜ三条市ふるさと納税は1年半で7億→50億円を突破できたのか」の記事を書いた。プロダクトの強さ、ふるさと納税のミッションとビジョンを事業者と共有、市役所直営体制、チームビルディングの成功、寄付額や目標にとらわれなかったことなどを50億円突破の理由にあげている。