新潟県燕市分水地区で分水おいらん道中が行われる16日(日)、分水地区の目抜き通り、地蔵堂本町通り商店街を歩行者天国にして初めてのイベント「分水マチナカフェス」が開かれる。ことしはおいらん道中が歩かなくなった地蔵堂本町通りににぎわいをと有志が立ち上がった。
イベントは第四北越銀行分水中央支店角の地蔵堂本町交差点から西へ願王閣の丁字路までの地蔵堂本町通り約150メートルを車両通行止めのイベント会場にして、午前10時から分水おいらん道中がスタートする午後2時まで開く。
そこに飲食を提供する店舗を中心に地元の19店舗が出店する。分水桜べっぴん弁当の販売、似顔絵描き、子ども向けに分水商工会青年部による縁日、燕市児童研修館「こどもの森」によるワークショップもある。
ほかにも分水神輿會(みこしかい)が「春の陣」として午前10時から11時半までみこしで練り歩く。燕市の観光PRキャラクター「きららん」との写真撮影、ご当地ヒーロー「メテオレンジャー」来場、おいらん道中歴史写真展、無料羽織体験、ガラポン抽選会なども用意する。
「“めぐって”楽しむ春つばめ」と題してちらしにスタンプを集めた人に特典を用意。この分水マチナカフェスで2個のスタンプが押せるほか、同じ日に開かれる「ツバメルシェ with つばめ桜まつり」や「トコマルシェ」など関連イベントでスタンプを押すことができ、3個集めるとガラポン抽選会に参加できる。2個以上でサービスを用意する店舗で割引きや試食などのサービスが受けられる。
分水おいらん道中は、おいらん役が行列を従えて大河津分水桜並木と地蔵堂本町通りを練り歩く。ことしは4年ぶりに外を歩くことになったが、感染防止もあって大河津分水桜並木だけになり、地蔵堂本町通りは歩かないことになった。
そこで立ち上がったのが、分水商工会女性部部長の上田佳澄さん(58)。1989年においらん役で信濃太夫を務めた経験者。今は燕市の教育委員も務める。「このまま町中をおいらんが歩かなくなるのは困るし、寂しいと思った」と上田さん。燕市に相談すると、まずは地元で盛り上げてはと逆提案された。それならばと上田さんが立ち上がった。
分水商工会青年部の長谷川隆志部長と2人で出店者をはじめ有志を集めた。商店街の役員も賛同してくれて弾みがついた。おいらん道中でみこしを出していた分水神輿會も協力してみこしを出してくれることになった。
ゼロからのスタート。まずは資金調達をと協賛金を集めたところ、思いがけず約60件もの協賛が寄せられた。ちらしはA4のつもりだったが、B5の三つ折りにできた。想定より規模が大きくなり、商工会商業部としても資金を援助してくれた。
何もないところから自分で企画してみて「イベントや祭りは、商工会だったり、観光協会だったり、全部、手配や申請をしてやってくれていたところに乗っかってやってただけだったことがわかった。割と簡単に考えていたが、道路の許可から消防や警察に話したり、全部、自分たちでやるのは大変だった」と、上田さんは裏方の苦労を痛感した。
地蔵堂本町通りを歩かないことに決まったのが昨年11月、上田さんが有志でやろうとイベントをやろうと決めたのが12月。時間がなかったので当初は商工会に協力を得られなかったが、「来年以降またやろうという話が出れば、商工会にもあらためて協力をお願いしたい」と来年の開催も視野に入れる。
「やっと夢が現実になってきた。楽しみでもあるけど、とにかくお天気になってもらわないと。それだけを祈って、あとはもう自分が楽しめるようしたい」と元おいらん役は笑った。分水マチナカフェスに関する問い合わせは実行委員会事務局の株式会社サマンサハート(電話:0256-92-3724・bunsui.machinakafes@gmail.com)。