新潟県三条市・下田郷の農水省「日本棚田百選」に選定されてる「北五百川(きたいもがわ)の棚田」に群生するカタクリと桜の花、残雪の粟ヶ岳(1,293m)がことしも春の共演を見せてくれた。
40年以上前に棚田の一角の雑木林を伐採すると、それまで茂っていたササなどに代わってカタクリが育ち始めた。4本のサクラの木の下にカタクリが群生する。
三条市のPRポスターに使われて評判を呼び、下田郷を代表する春の風景。ことしは記録的に開花が早く、桜とカタクリの花は前週初めがピークだった。週末に向かって風雨が強く、花見どころではないばかりか、桜が花を落とした。
再び青空が広がった10日は、それでも桜は落花盛んで、かろうじて花見に耐えるような状態。カタクリの青紫色の花もやや色あせたように見えたが、それでも残雪の粟ヶ岳とともに同じ視界に収まる風景は絵画でも見るような構図だ。
おまけに群馬県では天然記念物にも指定されているギフチョウの飛翔も時々、見ることができる。棚田の所有者の佐野誠吾さんによると、ことしは三条市の市街地と桜の開花日が近かったのは「雪消えが早かったから」という。
異状気象ではないかと心配しつつも「雪が消えて一気に農作業が始まるより、早く雪消えしてくれた方がゆっくり仕事が進められる」と早い春を歓迎。「花が咲き、虫もいなし、草もなくていちばんいい時期」と棚田の管理に忙しかった。