「男女の顔を描いたイラスト」と言われたら、そのまま信じてしまいそうだが、実はこれは「雪形(ゆきがた)」。山肌の残雪が描く模様を何かに見立てたものを「雪形」と呼び、新潟県の中央、加茂市と三条市にまたがる粟ヶ岳(1,293m)に出現している男女がほおを寄せ合うように見えるちょっと色っぽい雪形だ。
粟ヶ岳は、平野部の西側から3つのいただきが見えるのが特徴。その中央のいただきの下に、残雪が男女の顔を描いている。おわかりいただけただろうか。
向かって左に男、右に女の顔。たがいにほおを寄せるように密着させる。粟ヶ岳の雪形はこれまで「跳ね馬」や「牛形」の知られてきたが、それよりずっと写実的でリアル。一度、男女の顔に見えると、それ以外には見えなくなる。
この雪形に気付いたのは、加茂市の五十嵐裕幸副市長。ずっと以前からこの時期に男女が姿を現すことに気付いていて、通勤のたびに気になっていた。23日、雪形を撮影した写真とともに「この時期粟ヶ岳に現れる男と女。ダバダバダッ!」とSNSに投稿した。
「ダバダバダッ!」が何のことか50代以下ならわからい人がほとんどだろうが、「男と女」と言えば1966年のフランスの恋愛映画のタイトル。「ダバダバダ」のスキャットが流れる映画の主題歌は映画以上に有名だ。
五十嵐副市長の投稿に対して「20年ほど前から毎年見てます」というコメントもあり、「男と女」に見立てていたのは五十嵐副市長だけではなかった。「これは凄い!」、「○曜ロードショーの挿絵のよう」、「信越線を男と女ラインに」、「これはすてきです」と感嘆の声が上がっており、雪消えしないうちに自分の目で雪形の新作?を確認したい。