新潟県弥彦村の酒蔵、弥彦酒造株式会社と酒類卸の新潟酒販株式会社(新潟市西区)、日本航空(JAL)新潟支店(新潟市中央区)の3社がコラボレーションした日本酒づくりが9日、ことしも田植えから始まった。
昨年度も3社で女性が作った「READY!LADY!READY! そらとなでしこ 純米大吟醸」を発売した。弥彦村産の酒米「山田錦」を100%使い、JALの女性職員が田植えから収穫、仕込みまで行い、華やかな香りと優しい味わいが楽しめる酒に仕上げた。
好評だったのでことしもプロジェクトを続けることに。この日は弥彦酒蔵近くの上泉地内の田んぼでJALの客室乗務員4人を含む女性5人が参加した。
あわせてとなりの田んぼで特別栽培米の弥彦産コシヒカリ「伊彌彦米(いやひこまい)」の田植えも行った。伊彌彦米を使った日本酒づくりと米菓の製造も視野に入れる株式会社栗山米菓(新潟市北区)の4人、新潟酒販の7人、それに東急百貨店(東京都渋谷区)の2人も加わった。
1人が3列、延長約30メートルに苗を手植えした。五月晴れで絶好の田植え日和。ほとんどが初めての田植え体験で、尻もちをつく場面もあり、きゃっきゃっと言いながら楽しんで苗の株を田んぼに挿した。
JALの5人はツルのデザインのおなじみのブランドマークが入ったビブスを着けて挑戦。滋賀県出身で大阪に住む押野せいほさん(35)は「大変、体に負荷がかかるし、足は疲れるし、思いのほか泥だらけになるし、米粒は残せないと思った」と言い、酒に生まれ変わるのを楽しみにしていた。
栗山米菓はこの田植えのために製作した同社の人気の定番商品、米菓「ばかうけ」をバックプリントした真っ赤なつなぎの作業着で田植えに挑戦。せんべいの手焼きが体験できる「新潟せんべい王国」で働く細谷夏里さん(21)は上越市出身で入社4年目になった。
上越市の農業高校出身なので「意外と慣れている」とほかの社員の2倍近いペースで田植えを進め、日ごろの運動不足を思い知りながらも「意外と感覚を覚えていると思った。みんなの分まで頑張ろうかな」と張り切っていた。
東急百貨店の社員は「意外と泥パックみたいで気持ちいい」、新潟酒販の社員は「米を食べるとき感謝して食べなければと思った」などと話していた。
伊彌彦米は9月中旬、山田錦は10月下旬の収穫作業、それに続く酒の仕込みにも挑戦する。