14日、15日の2日間の新潟県三条市・八幡宮の春季大祭「三条祭り」にあわせて、八幡宮の地元にゆかりの有志でつくる敬神会(池田健治会長)は宵宮の14日、ことしも新しい鈴緒をこしらえ、磨き直した鈴とともに八幡宮に奉納した。感染防止のため下げていなかった鈴緒が4年ぶりに復活。ことしは鈴を鳴らして参拝できる。
毎年5月1日に八幡宮拝殿に下がっている鈴をはずし、会員が持ち回りで2週間かけて磨きあげる。宵宮の14日に鈴緒を編んで鈴と一緒に奉納する。敬神会はそのためだけに存在する。始まりはいつかよくわらかないが、真ちゅう製の大きな鈴には「昭和47年5月吉日」とある。
しかし新型コロナウイルス感染が拡大してから不特定多数がふれる鈴緒は感染につながるおそれがあるため、奉納して拝殿に鈴と鈴緒をいったん下げてから鈴緒だけ取り外してきた。8日に新型コロナウイルスが5類に移行したのに伴い、ことしは鈴緒を取り付けたままにし、4年ぶりに参拝者が鈴緒を引いて鈴を鳴らせるようになった。
ただし、鈴緒を作る作業後は料亭で直会(なおらい)で慰労するのが恒例だったが、それだけは来年から復活することにし、ことしも感染防止のため折り詰めの料理を持ち帰った。
ことしの作業は6人が参加。八幡宮と同じ八幡町に住む会長の池田健治さん(83)の家の前にブルーシートを敷いて作業した。ことしの鈴磨きは畳店を営む岡英之さん(49)が担当。鏡面のようにぴかぴかに磨き上げた。
鈴緒は8本の荒縄を束ねて太くしたものを3本作り、それぞれ黒、赤、白の布で包むように巻きながら、3本を同じ方向にしぼるようにねじる。摩擦力だけで1本の太い綱になる。
「よーいさっさっ、よいやさーのさっ!」の独特なかけ声でタイミングを合わせて束を引く。鈴緒のいちばん下を結び、組みひもの房で包み、麻ひもを垂らして完成だ。
作業に使う細い麻糸は池田さんのお手製だ。房は毎年、寄付してくれた人が高齢で作れなくなり、ことしは作りためたていた房を使った。いずれ底をつくので、自分たちで作れるように勉強しようと話していた。
近藤晋一さん(35)は体調が悪い父に代わって初めて参加した。以前に少しだけ手伝ったことはある。「先輩が手際がいいのでついていくので精いっぱい。ことしから鈴緒を下げたままにしておくということなので、やりがいやうれさしを感じる」。
「じゃあ、来年も頼む」と先輩に水を向けられ、「集まりは嫌いではないので、仲間にしてほしいなとは思うが、親子でも参加というのもどうかと思うので様子を見て」と前向きだった。
完成すると、かごを担ぐように鈴を下げた棒の前後を肩に載せ、会員の家の前などで鈴を鳴らしながら八幡宮へ運び、神前に供えて参拝したあと、はしごに登って拝殿の屋根の下に取り付けた。