新潟県三条市で14日、15日と行われた八幡宮(藤崎重康宮司)の春季例大祭「三条祭り」は、午後5時から八幡宮で行われた舞い込みで終わった。昨年は感染防止で形を変えて行われたが、ことしは感染禍前と同じ形に戻してフィナーレに向かって盛り上がった。
大名行列と舞い込みは、神輿(みこし)の運行に伴う行事。午前の神事で八幡宮の神殿から出した2つの御霊(みたま)を2基の神輿にそれぞれ納め、大名行列とともに市中を行幸してはらい清める。
八幡宮へ戻って神輿から御霊を神殿に戻すのが還御(かんぎょ)で、神輿を拝殿に上げる前に行われるのが舞い込みだ。先供、神馬(しんめ)、道祖神(どうそじん)、そして神輿2基と囃子(はやし)方の太鼓の順に拝殿の回りを走って3周し、拝殿へ駆け上がる。それに続いて子どもを肩車した親子が同様に3周して拝殿へ上がり、おはらいを受ける子どもの健やかな成長を願う行事でもある。
神輿を上げようとすると拝殿で待ち構えた先供などが、祭りを終わらないように押し返してもみ合いとなる勇壮な場面が、三条祭りのクライマックスだ。
昨年は感染防止で3周せず、走らずに参道からまっすぐ拝殿へ上がるという静かな舞い込みだった。さらに拝殿に上がった肩車の親子を天狗(てんぐ)など道祖神会の会員が子どもの頭をなでるのが慣例になっているが、鈴を掲げて鳴らすなど形を変えた。
それらをことしは元通りに戻した。心配された雨は午前中であがって天気は上向き、舞い込みが始まるころには五月晴れ。大名行列の一行は日焼けで顔を赤くして八幡宮に戻った。
境内がほとんど肩車した親子で埋め尽くされて走れなくなるような年もある。ことしはそこまでいかなかったものの、大勢の親子でぎっしり。夕方の斜光に照らされながら境内を土ぼこりを上げて走った。
神輿などはもみあいの末、いずれも3回目のトライで拝殿に上がった。もみあって倒れる人や、2基目の神輿は屋根の下のはりにぶつかって壊れるハプニングもあった。
最後の太鼓では、大名行列の運行を取り仕切る三条若衆会の齋藤和也会長が拡声器で「最後のばち1本はおれが持ってるんで、おれから取ってみろ!」と謎のパフォーマンス。さらに斉藤会長は境内に降りてなぜか太鼓をたたく場外乱闘も演じた。
それで火を着けたのか、奴も太鼓を上げようとする前から太鼓に向かっていき、ヒートアップした。太鼓も納まってすべての行事が終わると齋藤会長は「ことしの三条祭り最高でした。信じればね。かなうんですよ。みんなが雨って言ってたけど、雨ひとつ降らんかったじゃねーか!」と話し、関係者に感謝した。
「これからまた100年も続く三条祭り、みんなで盛り上げようぜ!」と鼓舞し、三本締め。続いて恒例で齋藤会長を胴上げして成功をみんなで喜んだ。