20日(土)を宵宮、21日(日)を大祭に行われる新潟県燕市燕地区・旧燕町を鎮める戸隠神社(星野和彦宮司)の春季祭礼。祭りを華やかに彩るのが2つの万灯と上横町神楽組の獅子舞。ことしは4年ぶりに万灯を出して本来の形で盛大に行われ、それぞれ本番に向けて連夜のけいこを積んでいる。
戸隠神社の春祭りは、若連中は台車の中央に灯ろうを載せて造花で飾った万灯を引き、木遣(きやり)音頭と伊勢音頭を歌う。木場小路万灯組では「お玉」、横町万灯保存会では「踊り子」と呼ぶ小学生の女の子が伊勢音頭にあわせて踊る。
20日夕方から21日にかけて門付けに回り、通りで踊る下座(げざ)を披露。踊り浴衣に化粧をして踊る愛らしい小学生の女の子の姿が人気を集める。感染防止対策で3年前は両万灯とも万灯を出すのも踊りも中止。2年前は万灯は出さずに木場小路万灯組だけ宵宮に1回だけ拝殿で参拝奉納を踊った。
昨年も万灯は出さず、両万灯とも踊りは本来の半分の6人とし、規模を縮小したが、ことしは4年ぶりに万灯を出し、踊り手も本来の12人に。門付けは要望を聞いて必要ならマスクを着けるくらいで、それ以外は感染禍前と同じ形で行う。
木場小路万灯組は、お玉は4月の初めから練習しているが、全体練習は日曜の7日から。戸隠神社拝殿裏手の「宿」と呼ぶ集会所で行っている。門付けは回る家が減っているため、30分遅らせて午後5時に宿に集合してスタートする。逆に21日は最後の舞い込みが終わるころには時間が遅く見物客が引けてしまうため、午後3時以降の予定はこれまでより30分繰り上げて早く終わるようにした。
一方で新しく始めることもある。21日は神官らが氏子町内の結界3カ所に設ける砂盛(すなもり)を払い清める。昨年はそのうち1カ所で踊りを奉納したが、ことしは秋葉町1、新町、中央通り3の3カ所の砂盛で奉納することにした。
総代はことしで6年目の清水守之さん(36)は「昨年はまともに万灯ができなかったので、砂盛に奉納しようとなった。元々は万灯はそこまで行ったが、例えば踏切ができて行けなくなったという経緯もある。それを人間だけでそこまで行こう、昔の形の戻すイメージ」と言う。
「今までの形と同じにいかない部分もあるが、来年に向けての第一歩のために、役員一丸となって準備してきた。あとは本当に久々にお祭りを楽しみたい」と目いっぱい気持ちをぶつけられる祭りに胸を躍らせている。
横町万灯保存会は、踊り子は4月25日にけいこをはじめ、旧第一生命ビル1階の駐車場で15日から練習している。総代は毎年交代し、ことしは土田浩之さん(46)。踊り子は感染禍で出たくても出られなかった5年生が多いと言う。
感染禍で若衆の参加が減ったが、ことしは戻ってくれた人が多かった。約200人の参加を見込む。「感染が収まって初めての祭りの総代を務めさせてもらうことになった。大変、光栄なことだし、ものすごく緊張しているが、にぎやかさや感動を皆さんに披露したい」を気を引き締めている。
そして獅子舞で市中を払い清める上横町神楽組は、4月の半ばから横町集会所で練習している。昨年は町内で門付けだけ回ったが、ことしは戸隠神社境内や通りで3匹の獅子がそろい踏みする獅子舞のパフォーマンスも披露する。
メンバーは15人。高齢化しているため、亡くなったり体調を崩したりで4年前のメンバーのうち10人が抜けた。ことしは実施を見合わせる話も出たが、男女2人ずつの4人が新しく加わって出せることになった。
そのうちのひとり、青柳順子さん(56)は家の向かいの頭(かしら)の関口修司さん(71)に頼まれて「飲んだ勢いでやってみようかと思った」。3町内が合併して今の横町万灯保存会が発足した年に踊り子を務めた経験がある。「よくわからないけど頑張ります」と笑った。
関口さんは「女性にカバーしてもらってなんとかできることになった。氏子10町内で何百件も門付けに回るが、それだけは確実にやりたい」と話した。