イギリスのロンドンで現地時間の22日から27日まで開かれている英王立園芸協会(RHS)主催の園芸イベント「チェルシー・フラワー・ショー」に出店している株式会社諏訪田製作所(小林知行代表取締役・新潟県三条市高安寺)の水沼樹(みずぬま・たつき)さん(31)=燕市=は、来場したイギリスのロックバンド、クイーンのギタリストのブライアン・メイさん(75)と遭遇し、「迷ってたらもう一生、話す機会はないと思って」声をかけ、ツーショットまで撮ってもらった。
今でこそニッパー型の高級な爪切りで世界に知られる諏訪田製作所だが、以前から盆栽用のはさみで高い評価を得ている。ロンドン支店も開設していて毎年、出店しているが移動制限もあってことしは4年ぶりの出店となった。
山口県出身で入社から10年近くなる水沼さんは海外担当。チェルシー・フラワー・ショーは過去数4、5回、出向いて来場者に自社製品をPRしている。
イギリス王室にとっても恒例行事で、22日のプレビューにはチャールズ国王をはじめロイヤルメンバーが訪れたが、水沼さんにとってはブライアン・メイさんが特別だった。
クイーン世代ではないが、2018年公開のクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』に感動。大音量の高音質でクイーンの曲を聴くイベントを開いた。クイーンのボーカル、フレディー・マーキュリーさんのコスプレで運営し、イベントの売り上げを三条市に寄付するためにそのコスプレで市役所市長室を訪れるほど熱中した。
それほど思い入れのあるクイーンのメンバーのひとりに、それも仕事中にまさかの遭遇となった。「ブライアン・メイみたいだなと思ってブライアン・メイっすか?って聞いたら、なんかイエスとかって言うんで、マジかってなって」と水沼さんは興奮して話す。
「やっぱ一瞬、声かけようか迷ったんですよ。プライベートで来てるし。周りのイギリス人もブライアン・メイさんをちらちら見てて、彼らも声かけるか迷ってる感じだったんで、もうこんな迷ってたらもう一生、話す機会はないと思ってガンガンいこうと。そこで話さなかったら一生、後悔する」と思い切って声をかけた。
「本人を目の前にすると何を言っていいかわかんないっすね。ファンで音楽も最高ですねと言って。そんなことは死ぬほど言われてきただろうし。ブライアン・メイさんも笑っちゃって、握手して写真、撮ってもらっていいっすか?って言ったら、全然、いいよって」。
製品を持っていたらプレゼントしていたところだが、あいにく昼食に食べようとポテトを買って来たところ。「何も渡せないどころかポテト持ったまま写真を撮って」と笑う。ツーショットでは左手にポテトの入ったパッケージを持っているのが写っている。
ブライアン・メイさんの印象は「すごいゆっくり歩いてて、庭を楽しむおじいちゃんみたいな感じでしたけど、あの髪なので後ろから見たらすぐわかる」。ちょっと心残りなのは「クイーンの音楽を聞いてすごくいい気持ちになったり、テンション上がったりね。なんか感動もらってるんで、お礼というか感謝を伝えたらよかったなって思ったんですけどね。全然、無理でした」。
次に会ってみたいのは映画『ハリー・ポッター』で有名になったエマ・ワトソンとか。もちろん仕事のことは忘れていない。「日本の刃物は信頼をして買ってくれる人が多くて、自分の会社でいい物を作っただけでは、こうはならない。日本の刃物会社がみんな、いい物をずっと作ってきたから、世界の中で高い評価になっている」と実感する。
チェルシー・フラワー・ショーのあとは、ベルギーのブリュッセル支社へ向かう。