東京と神奈川で24店舗を展開する1930年創業の老舗レストラン「つばめグリル」は、少なくとも20年近く前から新潟県三条市下田地区で栽培されるコメ「下田米」を各店舗で使っている。下田米の生産を体感し、下田米の良さを来店客に伝えようと18日、各店舗の店長ら21人が下田地区で田植えに挑戦した。
つばめグリルでは以前からコシヒカリを使っていたが、せっかくなら新潟米にしようと、納入業者が「JA全農にいがた」に問い合わせて紹介してもらったのが下田米だった。いつから下田米を使っているかはっきりしないが、2005年までさかのぼることができた。
全店舗で下田米を使っているので消費量は相当な量になり、納入業者は「つばめグリル」などと印刷した専用の米袋に入れて納品している。店舗では「当店では新潟県下田産コシヒカリを使用しております」とあるシールを張るなど積極的に下田米の使用を来店客にアピールしている。
昨年秋に初めて下田地区で稲刈りを行ったのに続いて今回は初めての田植え。2,900平方メートルの田んぼで苗を手植えした。「ごろ」などと呼ばれる稲をさす位置を示す格子模様を描く定規を転がす作業も体験した。
真夏を思わせる猛暑のなかで、はだしで田んぼに入った。「なんか足の上でにゅるにゅる動いている」、「カエルだ」とはしゃぎながら作業し、「昔の人はこんな大変だったんだ」と田植えの過酷さに驚いていた。
つばめグリルの高木昭道営業部長(50)は「新潟って聞いただけでなんとなくお客さまは納得され、下田米はおいしいという声をすごくいただいている」と下田米の選択の正しさを確信。「生産者とつばめグリルをつなぐストーリー、お客さまとのストーリーもある。そうしたことを伝えていきたい」と話した。
また、楽しそうに田植えする社員のようすに「あまり日の光を浴びない仕事。みんな自然にまとまりを見せ、久しぶりに明るい笑顔を見せている。機械ならあっと言う間の作業でしょうが、どうリーダーがみんなを巻き込みながら作業を進めていくか、真価が問われる。感染禍を経てみんなが集まれるうようになり、いい時期だった」と精神面にもいい影響を与えていることを喜んでいた。秋にはまた稲刈りの予定だ。