新潟県弥彦村は、弥彦公園に一角にある老木になって倒れる危険性があるサクラを8日から伐採するのに伴って5日、現地で神事を行って伐採工事の安全を祈願した。
伐採するサクラは、JR弥彦駅から弥彦公園の入り口付近、公園の北東角のL字に植えられたサクラ。18本のサクラのうち幼木もあり、倒木の危険性がある11本を業者に委託して8日から2、3日で伐採する。
弥彦神社境内から大駐車場側に桜苑がある。古くは植物園だったが、たくさんサクラを植樹して1961年(昭和36)4月に桜苑と改称した。
さっそくその年に桜苑で開かれた観桜会の席上で有志から弥彦桜の会を結成しようと声が上がり、6月に正式の発足。翌62年(昭和37)の3月から4月にかけて200本のサクラを村内の祓川(はらいがわ)堤防、弥彦駅前、小中学校、弥彦ロープウェイ駅などに食事した。
今回、伐採するサクラはそのときに植えられたものと思われ、樹齢は少なくとも60年を超えた。サクラの寿命は一般に60年と言われる。老木になって幹には大きな空洞が広がり、幹を手で押しても簡単にゆらゆら揺れるほど弱っている。
弥彦村では2006年に強風で弥彦競輪場近くの杉並木の巨木が道路上に倒れたことがある。幸いけが人など被害はなかったが、同じように倒木の危険性がある17本の伐採が終わるまで道路を通行止めにしたことがある。
老木ではないが、18年には弥彦山登山道で雪の重みによる倒木で死者が出たことも。豊かな緑が弥彦の大きな魅力だが、倒木で被害の出ないよう安全確保は欠かせない。
今回は樹木医にも調査してもらい、住民の理解も得て撤去が必要とされたサクラを伐採することに。8日は本間芳之村長や村職員、工事業者、区長が参列して弥彦神社の神官が公園入り口の東屋で清払いの神事を行い、さらに伐採する11本を1本1本も払い清めた。そのあと伐採工事中の看板を立てた。
伐採後は低木を植えようと計画している。本間村長は「伐採は断腸の思いだが、何よりも安全の確保が必要」とし、サクラに限らず老木は伐採が必要で、「人通りのあるところを優先的に進めたい」。ただ、「伐採した分、植樹も行うので相対的にサクラが減ることはない」と県内のサクラの名所の看板はこれからも掲げていく。