1999年に廃線になった新潟交通電車線(電鉄)で活躍した車両、通称「かぼちゃ電車」3両を旧月潟駅(新潟市南区月潟)で保存して維持管理する「かぼちゃ電車保存会」(平田翼会長)。塗装修理などを始めたところ、車体の側面から2012年に閉店した「ジャスコL(エル)」の車体広告が現れ、ジャスコLが健在だった時代を知る人の郷愁を誘っている。
24日(土)、25日(日)と地元で月潟まつりがあり、旧月潟駅の開放も行われる。大勢の人がかぼちゃ電車の見学に訪れる。その前に化粧直しをと、6月に入ってから塗装修理を始めた。
修理は3両のうち「モハ11号電動客車」の進行方向に向かって右側の側面。塗装をはがしてからさびを削り、へこんだ部分はバテで埋めてから下地処理し、それから再塗装して完成。べったり塗られた緑の塗装を落とすと、ジャスコLの存在が浮き出した。
上を黄、下を緑のカボチャの配色で塗り分けられた車体の緑の部分、先頭から昇降口の手前でいっぱいに使って広告が描かれている。
赤でジャスコのロゴと大きく「ジャスコL」。その上は白文字で「ジャスコと75の専門店街」とある。ほかにも「ジャスコは楽.....の場」や、笑っている女性のイラスト、「豊かな」という文字もうっすらと見える。
以前から塗装の下にジャスコLの広告があることはわかっていた。広告は車両の両側にある。ジャスコLの広告が描かれたかぼちゃ電車を模型で再現しようと、模型マニアがデカールを作ろうと当時の広告から正確に起こした画像データもある。
週末の17日、18日は再び上から新たに塗料を塗るので、広告がある状態が見られるのはそれまで。ジャスコLの広告が現れたといううわさを聞きつけて、今がチャンスと見学に訪れる人もいる。
ジャスコLは、新潟市西区青山に1979年8月に総合スーパー「ジャスコ新潟店」としてオープンした。ジャスコLは建物がL字形をしていたことに由来する愛称で、「青山ジャスコ」、「青ジャス」とも呼ばれた。広い駐車場を備え、オープン当初は先進的で大規模なスーパーとして県外からも来店する人もいるほど注目を集めた。
2011年に「イオン新潟店」に改称し、12年2月20日で閉店。13年2月19日に「イオン新潟青山ショッピングセンター」に生まれ変わって今に至る。
ジャスコLの開店で来店客の需要を見込み、開店翌年の1980年にジャスコLの最寄り駅となる「東青山駅」が新設された。東青山駅跡周辺の旧電鉄跡地は遊歩道として整備され、2021年に全線約6.3kmが開通して「オレンジロード」と命名された。遊歩道上には表示は「東青山駅跡」の表示もある。ジャスコLが、かぼちゃ電車の車体広告を出稿したのも当然だ。
会長の平田翼さん(30)によると、かぼちゃ電車の車体広告は、ジャスコLのほかにも井関農機など数種類あったと言う。わざわざジャスコLの広告発掘を見に来る人がいることから「ジャスコLの広告の横断幕を作っていつでも表示できるようにしようという話も出た」と思わぬ反響を喜んでいる。