国指定重要文化財「渡邊邸」(新潟県関川村)を管理する公益財団法人重要文化財渡辺家保存会(関川村下関)は20日、架空の請求書と領収書を作成して隠ぺいして新潟県と関川村から合わせて182万3000円の補助金を不正受給したと発表した。
不正受給したのは 2019年度分から21年度分までの3年間で、返還する不正受給金額は新潟県分121万5000円、関川村分60万8000円の内訳。
同保存会は県と関川村から「新潟県国指定文化財保存事業等補助金」の交付を受けて重要文化財渡辺家住宅と名勝渡辺氏庭園の維持、管理を行っている。
19年度から入場者数が減少し、さらに新型コロナウイルスの感染拡大で入場者数が落ち込み、入場料収益が激減し、運転資金が枯渇しした。
しかし職員の人件費を主に運転資金の支払いを優先したため、補助事業を行う資金が不足し、本来の補助事業を行うことができなかった。
そこで担当職員が実績報告書の作成時に申請額と実績額を合わせるため架空の請求書と領収書を作成して隠ぺいした。
対応策として、理事、監事、事務局長が責任をとって辞任し、6月3日から新体制に。収支改善計画を策定して資金を確保し、補助事業における支払いを振り込みとする。
補助事業の写真や領収書など施工を証明する書類を半期ごとに分けて村の担当者に確認してもらうなどで再発防止に努めていくとしている。
渡邊邸は、米沢藩を支えた大商家、豪農の邸宅。回遊式の庭園は国の名勝に指定され、映画「峠 最後のサムライ」のロケ地にもなっている。