新潟県三条市と商議所、市立大、第四北越フィナンシャルグループの4者が30日、包括連携協定を締結した。協定書に調印したそれぞれの代表が包括連携協定に込めた思いや期待を話した。
滝沢亮三条市長、兼古耕一三条商工会議所会頭、アハメド・シャハリアル三条市立大学理事長、殖栗道郎第四北越フィナンシャルグループ代表取締役社長が協定書に調印した。
協定は、イノベーティブな取り組みなどでサスティナブルな地域社会の実現が目的で、三条市が地域課題とする産業の高付加価値化や生産性の向上、労働環境の改善などへの取り組みを産学官金の4者が連携して効果的な支援を行い、持続可能な地域社会の実現を目指す。
報道関係者からの質問に答えて殖栗社長は、協定締結の経緯について、シャハリアル理事長から始まったと話した。シャハリアル理事長は「非常に経済に詳しくイノベーションに対する知見も深い」ということで1回、会ってみたいと思っていて、三条市立大学を訪問し、じっくり見学。シャハリアル理事長から「結果として想定以上の話を聞き、県央地区の発展に貢献しようという意欲を含めて感銘を受けた」。
部下にシャハリアル理事長、三条市立大学と接点を深くもつよう指示し、それを受けて部下が接点をもつなかでシャハリアル理事長から連携を提案されたと話した。
さらに、「世界有数の産地である三条地区で、シャハリアル理事長のいる三条市立大学があったうえで、三条市の総合計画もうまくかみ合わせて皆さんが賛同してくれ、きょうがある」、「こういう状況で三条市のなかでのこの4者連携に運ぶことができた」と述べた。
滝沢市長は三条市の課題について、三条市の経済ビジョンを総合計画に落とし込み、生産性や人材の雇用維持が課題であり、伸びしろと答えた。4者の連携によって「三条市だけで取り組むより、4者でタッグを組んで取り組み、さまざまなパートナーと一緒に取り組んだ方が加速度的に増していく」と期待するとともに「ほかの3者にスピードで負けないように我々もしっかりと食らいついていかなければならない」とした。
また金融的な取り組みについて殖栗社長は、ファンドなどは想定していなが、可能性がないとは言えないとし、「移行ためのトランジション的なファイナンス、あるいは生産性向上に向けたさまざまな設備投資のための融資などのチャンスは当然、出てくるだろうと思っている」と述べた。調印後の4人のあいさつの概要は次の通り。
集合知というような言葉があるが、この4者が集まり、協定を結んだことで、三条市が、三条市立大学がこれまで以上のスピードで、これまでなかなか解決できなかった、なかなかベクトルとして見えてこなかった方向についても、いい形で前進できる、前に進める、本当にいい機会だったと思う。
協定締結で決して満足していいという話ではない。変化の激しい時代だからこそ、その先を進んでいかなければならない。三条市としても、ほかの締結を結んだ3者に負けず劣らずでしっかりと協定の中身をリードしていけるように頑張っていきたい。皆さまと一緒にこの地域を、三条市立大学を、学生たちを、いい形で未来志向で、未来が広がる形で、いい形で進めていきたいと思っている。
この地域の企業のほとんどが三条商工会議所のメンバー。現在の資源高騰やエネルギーの問題、いろんな形で具体的な方法としてSDGsとかDX化とか、わかっているけれども具体的にどういうふうな形で会社の改善に取り組んだらいいかどうか、非常に悩みながら毎日、作業、仕事をされてる人が多い。
人手不足も含めて、こうした具体的な連携をすることによって、各企業の改良改善のきっかけができれば、大変、良い連携ができたと感謝している。
この地域の経済が活性化して、各企業が活力が生まれるのがいちばん。そのため三条市立大学という公設の技術系の大学あることは、われわれ地域の金属加工業者が多い地域おいては大変ありがたい。これをきっかけにますますこの地域が発展していくように、よろしくお願いしたい。
大学を中心にこの地域の持続可能な社会づくりが進むことは地方、地域大学のあるべき姿だと、とても心強く思っている。よい地域づくりに貢献できることを期待している。
昨今のグローバル社会において大学の教育のあり方が少し変わりつつある気がする。これまで大学は知識、知の拠点と呼ばれ、知識をつくる、知識を創造するというふうに捉えるのが普遍的なものだが、グローバル・メガトレンドに直面して大学の意義そのものが少し変わりつつある。
個人的な価値を保ちつつ新しい流行を取り入れるのは、グローバル的な大学は、みんながそれを取り入れることなので、新しく誕生した我々も例外ではない。むしろ率先してそういったことを取り入れたい。
デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーション、掛け合わせてグリーンデジタルトランスフォーメーションとも言われる。人間が介在するヒューマンウェルビーイングみたいなものも最近、ものづくりの現場や私たちに求められている。
こうした概念を取り入れながら人材づりをしていく、そうした人材がこの地域社会で活躍するということが最も望ましい形だ。
三条市立大学は3年前に誕生し、それよりも5年前に構想が上がり始めた。三条市の総合計画の一環でこの大学は誕生に至った。私たちはこの地域に地域の発展、地域の持続的な可能性に貢献するということは、私たちの使命。その使命に向かって私たちが時間を、あるいはそのチャンスを無駄にすることなく、確実に進みたい。
小さい大学なので多くのパートナーを見つけなければならず、本日はそういうパートナーシップの第一歩目だと思う。私たちは2年間かけて全国からものづくり技術に興味、関心のある優秀な学生をここに集めることができた。あるいはその基盤づくりもできた。
そういった学生からここに来てもらい、私たちが約束している経験と知識を融合した新しいやり方で彼らにその教育を施す。その基盤づくりも一段落がついたと思っていて、今度は本学の第2ミッションである地域の持続的発展に貢献することに着手したいと思い、今日に至った。
これから私たちがイノベーションに向かっていくので、さまざまな場面をとらえてイノベーションにいけるような連携がイグニッションというか、着火地点ではないかと思っているので、今後も見守っていただきたい。
素材高、資源高、DX、GX、サプライチェーンが変わるし、人手不足もあり、非常に課題が山積している昨今だが、第四北越フィナンシャルグループは従前の第四北越銀行としての預金、融資、決済のほかに、証券会社、リース会社、クレジットカード会社とか、似たような分野のほかに、IT、デジタルの会社、あるいは人材紹介会社、地域商社、さらにはリサーチ調査会社、コンサル会社といったものをグループ内に取り入れ、一体で地域の課題の解決のお手伝いをしていこうと、地域と共存共栄を標榜し、鋭意努力している。
とはいえ私どもだけができる領域は銀行からだいぶ広がってはいるものの、まだまだできないことがある。そうした部分の解決という意味では本日のこの締結によって非常にできる領域が広がると認識している。
三条市は、世界有数の部品から完成品まで、短距離で完成することができる本当に希有な地域、豊富な資源があると認識している。これに加えて市立大学のイノベーティブな知見、商工会議所の強固な連携体としての力、さらに私どもの機能、あるいは内外へのネットワークをうまく結びつければ今年度、スタートされた三条市の総合計画の構想に非常に早く到達できる一助になると考える。
ぜひとも活発なる具体的な連携活動によって実を上げていきたいと考え、しっかり連携していきたい。