新潟県加茂市・新潟中央短期大学の学生が新潟県田上町に伝わる団九郎伝説を描いた紙芝居「護摩堂山と団九郎狢(ムジナ)」を制作。田上町で活用して地域の子どもたちに見て団九郎伝説を語り伝えてほしいと願っている。
田上町の護摩堂山のほら穴にムジナの団九郎が住んでいた。ムジナはタヌキやアナグマの総称。団九郎の妻が産気づき、団九郎は人間に化けて産婆(さんば)を背負ってほら穴に連れて来て、無事に出産すると礼に短刀をあげたという伝説が残る。
2019年から地域資源、歴史、伝説、芸術のもつ力に期待しながら地域の活性化、交流人口の拡大を目標にかつて田上町で盛んに採石された「大沢石」を使ったモニュメントを制作。昨年夏は田上町特産の「陣ケ峰瓦」を使ったワークショップなどが行われた。
一連のプロジェクトは、田上町が連携協定を結ぶ中央短大の村木薫教授が東京芸術大学で彫刻を専攻したこともあり、東京芸大とともに地域資源源活用事業として取り組んだ。
モニュメントは走る団九郎をイメージした「走れ、団九郎」。足首から下の足と、足跡を大沢石を組み合わせて表現したもので、足のサイズは約6メートルにもなる大きな作品だ。
1日、現地で大沢石モニュメント完成記念式典のあと、田上町交流会館で行われた村田教授と東京芸大彫刻科の林武史教授と林岳教育研究助手の3人よる講演会のなかで紙芝居が披露された。
紙芝居は中央短大の村木ゼミの学生が半年以上かけて制作した。12ページあり、この日はストーリーを担当した今春卒業して保育教諭になった高岡沙知さん(20)、作画を担当した2年山岸未空さん(19)、卒業して保育教諭になった木伏夢さん(20)の3人で声を分担して紙芝居を読んだ。
高岡さんは「忙しい時期につくったので大変だったけど、どういうふうに子どもたちに伝わるか言葉選びを考えてつくった」、山岸さんは「実際に護摩堂山へ行って見た自然をどう紙芝居にできるか、人間とのかかわりをどう表現するか悩みながらつくった」と話した。
村木教授は「プロジェクトは今回でひとつ区切りになり、今後どうなるかはまだわからない。大事なことをやっぱりこれを田上の子どもたちに活用してもらうことをねらいにつくったこと」と話し、何らかの子どもたちが紙芝居にふれる機会をもってくれることを願っている。