新潟県三条市は20日、三条市名誉市民の漢学者、諸橋轍次博士(1883-1982)がことし生誕140周年を迎えたのを記念して「三条市諸橋轍次博士奨学金」と命名した三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)の学生を対象にした奨学生の認定式を行い、12人の奨学生に認定証を授与した。
三条市は各種の奨学金を今年度から「三条市諸橋轍次博士奨学金」の名称で統一。三条市立大生への奨学金は、返還の必要のない年額48万円の給付金を支給するもので、成績優秀な1年生と2年生6人ずつの12人を奨学生としてシャハリアル学長が決定した。
三条市立大生には、ほかの奨学金制度として「高波龍風奨学金」を各学年10人、「高儀スカラシップ」を各学年4人に支給している。いずれも年額48万円を給付。奨学金の併給はできないので各学年合わせて20人が奨学金を受給し、学年80人なので4人に1人が奨学金の恩恵を受けられることになる。
認定式では滝沢亮市長から奨学生代表に認定証を授与した。奨学生代表で岐阜県関市出身の2年・林吏玖(りく)さん(20)がお礼の言葉を述べた。
林さんは、奨学金を希望した理由は2つ。三条市立大学が育成人物像とする創造性豊かなテクノロジストに近づくために資格を取る資金が必要なことと、家計が厳しく最も直接的に学業の足を引っ張っていることで、「奨学金を利用し、創造性に富んだ技術者を目指し、将来、地域社会に貢献できる人材になりたい」と述べた。
滝沢市長は奨学金制度の経緯を話し、「学問に集中し、大きく羽ばたいてもらおうと今年度から皆さまにも給付型の奨学金を渡すことにした」と奨学金に込めた思いを述べた。
三条市民の代表として認定証を渡し、しっかり勉強してほしいというメッセージ、感謝と激励の気持ちであり、「きょうは私が話をしているが、市民からみんなへの応援だよということをしっかりと受け止めて、きょう以降も勉学に、いろいろな学び、遊びを含めてこの地域のために頑張ってほしい」と願った。
シャハリアルが学長もお礼の言葉を述べた。「偉人を支援する人がいてこの基金ができ、皆さんがその恩恵に預かっている」ので、受けた恩を何らかの形で社会に貢献しなければならないという責任を少し感じてほしいと奨学生に求めた。
大学生活にも金が必要で、奨学金によって金を稼ぐ時間を省けるので生活にゆとりができる。「その時間を使って偉人になるための自分をつくってほしい。今がそのとき。その基礎をつくって社会に貢献できる人になるためのタイミングが今」と、恩に報いる飛躍に期待した。