新潟県新潟市西蒲区岩室温泉の「越後平野と弥彦連山一望の宿 穂々(ほほ)」(旧ほてる大橋 館の湯)は、宿泊客に限らず誰もが利用できるサービスを提供しようと8月1日(火)、旅館の売店の一部にカフェ「イワムロコーヒー」を正式オープンする。
世界で最も高価なコーヒーのひとつされるスペシャルティコーヒー「ゲイシャ豆」でいれたコーヒーを500円で提供する。今でこそ新潟の芸者といえば古町芸妓(げいぎ)だが、新潟県の芸者発祥の地は岩室温泉。芸者が名前の由来ではないが、それにちなんで「ゲイシャ豆」を使う。
ソフトクリームにもこだわる。以前からソフトクリーム界のフェラーリとも言われる、買えば数百万円のソフトクリームマシン「カルピジャーニ」の最高レベルのマシンを導入している。県内でも数店でしか使われていないと言う。
ソフトクリームの味の要となる牛乳も全国の牛乳を試してみて、これはという農場の牛乳を使っている。これまでは宿泊客向けのサービスだったのが、誰でも味わえるのはうれしい。
そのほかのドリンクやスイーツも地元にこだわる。いわむろクリームソーダ(650円)は、角田の青空ブルー、間瀬の夕焼けレッド、越後の田んぼグリーンの3種類をそろえた。
アレンジソフトは3種類あり、ブルーベリーと佐渡乳業のヨーグルトとのコンビネーションは絶妙。あんこバージョンは岩室温泉の角屋悦堂のあんこを使っている。アフォガードは一押しというだけであって一度は味わってみたい絶品だ。
また、カフェのロゴは岩室富士、多宝山、弥彦山の岩室を象徴する3つの山を望む風景をデザインした。
明治初期の岩室温泉に「大橋屋」として創業した。1994年に「ほてる大橋 館の湯」としてグランドオープンし、それから29年たったことし3月、「越後平野と弥彦連山一望の宿 穂々」に名称変更し、リブランディングを図った。
「穂々」には新潟平野の稲穂や宿泊客にとってふるさとのようにほっと落ち着ける場所でありたいという思いを込めた。
社長の石添嗣好史さん(41)は、岩室温泉旅館組合の組合長で岩室温泉観光協会の副会長でもある。岩室温泉全体をひとつの施設として宿泊する旅館と食事する旅館を別々に利用できる連携を図るなど、これまでの旅館の枠にとらわれない岩室温泉の新しい価値の創造を考えている。
石添さんは「バイパスが通ってから、岩室に来る人がすごく減った。以前は弥彦まで向かう観光ルートの中に岩室があり、宿泊者はもちろん、紅葉シーズンは当館の辺りまで列ができた。バイパスが通って非常に便利になった反面、飲食、菓子屋を含めて利用者数が減った」とにぎわいが薄れた現状を話す。
カフェのオープンもそうした取り組みから生まれたアイデアのひとつでもある。「温泉以外でも土地を楽しんでいただけるようにできないかということがひとつのねらい。岩室温泉全体を盛り上げるきっかけになれば。温泉に入らない人もぜひ利用してほしい」と願っている。問い合わせは同館(0256-82-4125)へ。