新潟県田上町の“これから”を考える作り手を集めた「たがみこれから市」が6日、「道の駅たがみ」で開かれ、あわせてその農業の作り手たちとの交流を兼ねた「1日だけのたがみこれからレストラン」も開かれた。
この日だけのレストランの調理を担当したのは、「山cafeé一歩」(田上町川船河)のオーナーシェフ、木村一馬さん(36)。「たがみこれから市」に参加した農業のライス・イア・コープ、佐藤農園佐藤重松、山川仙六農園、笠原政嘉さん、小澤農園、山口浩一さんの6つの農家の農産物を使うところからメニューを考案した。
「たがみまちやさいのバーニャカウダー」、「田上産桃の冷製ジェノベーゼパスタ」、「田上産・玉葱&ジャガイモの冷製スープ」、「自家製ピクルス」、「田上産越の梅酵素ゼリー」の5品を用意。ネーミングからもこだわりが伝わる。
なかでもこだわったのがバーニャカウダー。器にワラを敷いて上に野菜を載せ、山川仙六農園の畑を視覚的に再現。器も田上町の陶芸家、土生田焼(はにゅうだやき)の石田一平さんの作品を使って趣向を凝らした。
このメニューを50食限定で販売した。その場で味わってもらうとともに、各農家をレストランの利用者に紹介し、農家同士でも交流してもらった。レストラン利用者は、インスタ映えする見た目もきれいで料理を味わってさらに感動していた。
昨年秋にマルシェスタイルで初めて「たがみこれから市」を開いた。馬場大輔駅長(44)は、「農業の歴史という、しっかりしたバックボーンがある町で“これから”をちゃんとつくっていきたという気概をもったメンバーが一緒にやっている市」と込めた思いを話す。
そこで「客、出店者同士で交流するのがいろんな意味で広がりを感じたので、今回は、よりそこに寄せるために初めてのレストランということで木村さんにお願いした」。木村さんも「1週間ほどしか時間がなく大変だったが、取り組みを通じて農家さんと交流できたのはよかった」と話す。
もうひとつのポイントが田上町の工業。「田上はすごい技術がしっかりある地域で、ジェット機のエンジンや宇宙開発の部品、伝統工芸品の桐(キリ)たんすを作っている。技術、工業がしっかりある町であることを伝えたいと工業者さんにも入ってもらった」と馬場駅長。今回は加工品3社・団体、地場産業の5社からも製品を展示したり出店したりした。
「子どもたちがそういうことを感じて自分たちの町っていろいろあるんだなと、この町でなんか挑戦してみたいなっていつか思ってくれたらとてもいい展開になると思う」と馬場駅長は願っている。