盆の墓参りにつきものだった新潟県の郷土玩具「鯛車(たいぐるま)」。新潟市西蒲区の巻地区で13日、ことしも鯛車を貸し出す「鯛の盆」が行われ、墓参りに向かう子どもたちの後ろを鯛車が泳ぐように追いかけていた。
鯛車は車輪のついた台車にタケで骨組みを作り、和紙を張ってタイをかたどったもの。中にろうそくをともし、夜に赤く浮かびあがる。かつては県内の至る所で見られたが、今では限られた地域で細々と作られている。
巻地区では鯛車をつくる職人が絶えていたが、2005年に鯛車復活プロジェクトが発足。教室を開いて鯛車を作れる人を育て、新たに鯛車を作っている。
貸し出し用に約80台と展示用を含め約200台もの鯛車をそろえた。午後7時半ごろをピークに日が沈むころから家族連れが続々と訪れた。
浴衣を着た子どもも目立ち、微妙に表情が異なる鯛車の中から気にいった鯛車を選び、ガラガラ、キュキュと音を立てて引いてそれぞれの寺へ向かった。
表情が微妙に異なる鯛車を選んで借り、ガラガラと音を立てて引いて寺へ向かった。昨年は感染禍もあって利用は少なかったが、ことしはそれ以前と変わらないにぎわいだった。
浴衣を着た子どもも目立ち、文化会館へ戻ってきても「なんでもうやめんの?」と不満げな子も。墓参りはしないが、鯛車を引いて周囲を歩きたいと借りる人もいて、子どもたちにとって鯛車の魅力は今も昔も大差ない。鯛車が廃れたのは、子どもよりも親の都合が理由のようだ。