新潟県三条市の一ノ門に鎮座する小さな神社「陣屋稲荷(じんやいなり)」のとなりで2日夜、地元の人たちによる手づくりイベント「陣屋稲荷縁日」が開かれ、子どもたちに地元で縁日の雰囲気を楽しんでもらた。
毎年6月に開かれる三条凧(いか)合戦に出場している凧組「一ノ木戸清正組」が主催。一ノ門一・二丁目自治会や一ノ門PTAが後援した。
陣屋稲荷となりの駐車場が会場。盆踊りはないが小さな矢倉を組んでそこから四方にちょうちんを下げ、縁日の雰囲気を演出した。この地には藩の屋敷である「陣屋」があった。会場前の細い私道は「陣屋小路」の名が残る由緒ある地域でもある。
地元の店がテントで飲食を提供し、子どもたちには菓子の詰め合わせをプレゼント。今回は無料の手持ち花火、スクリーンでアニメ上映、ビンゴ大会を初めて企画した。
以前は毎年12月ごろにもちつき大会を開き、もちをついて振る舞ったが、感染症拡大で中止に。再開するにあたり2年前から神社稲荷縁日に代えて開いている。2年前は11月の昼に開いたのを昨年は夜に変え、ことしは9月に変え、まだ進化中だ。
主催の一ノ木戸清正組は凧組なのに凧と関係のない事業に取り組むのは意外だが、実は地域の若手でつくる青年部のような形でスタートし、あとから三条凧合戦に出場するようになった経緯がある。
ほかにもひとり暮らしの高齢者世帯で雪かきボランティアをしたり、どぶさらいをしたりといった地域活動にも取り組んでいる。一ノ木戸清正組会長の結城靖博さん(39)は三条商工会議所青年部の会長でもある。
今は陣屋稲荷の祭りも行われなくなった。結城さんは「子どものころに陣屋稲荷で祭りがあったのを懐かしく覚えている。今の子どもたちにもそんな気持ちを味わって縁日で楽しんでいい思いでつくってほしい」と言う。
もちつき大会の代わりのはずが結局、ことしはもちつき大会を復活させることにした。「自治会とスクラムを組んで高齢者も誰もが安全に暮らせるようにしたい」と話している。
一ノ門一・二丁目自治会は、三条市社会福祉協議会の「地域のつながりづくり促進事業」の助成を受けて陣屋稲荷縁日の経費に充てている。若杉建秀自治会長(72)は「われわれだけではできない。若い人がやってくれるからこそ、これだけのことができている」と若手を頼もしく見守っている。