創業130年余の「うすいや食堂」が18日で閉店廃業 (2023.9.16)

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新潟県燕市吉田下町で創業してから130年以上になる老舗「うすいや食堂」が18日(月・祝)で閉店、廃業する。閉店が知られてから毎日、昼は満席が続き、地域に根を張った名店の閉店を惜しんでいる。

18日で閉店する「うすいや食堂」の店主の塚田さん
18日で閉店する「うすいや食堂」の店主の塚田さん

祖父が福島の店からのれん分けしてもらって開業

店主は3代目の塚原紀夫さん(73)。祖父が明治半ばに、うすいや食堂を創業した。祖父は福島県の「深川」という場所にあったうどん屋と思われる店で働いていた。

のれ分けしてもらい、移り住んだ理由はわからないが、今の場所で食堂を始めた。父はシベリア抑留されていたが、復員して祖父の後を継いだ。塚原さんは二十歳前から店に入り、もう裕に50年以上になった。


店内のようす
店内のようす

「死ぬまで稼がせねろ。動かれるうちにやめるすけ」

店は妻、長男、姉の身内4人で切り盛りし、店の向かいの奥さんにもパートで手伝ってもらう。「みんな体がゆーこときかねなった」と塚原さん。姉は78歳。「姉が去年からだめらいっや。なんとしてくれと頼んだから、うちのじいちゃん、ばあちゃんみてーに死ぬまで稼がせねろ。動かれるうちにやめるすけ」と答えた。

昭和30年ごろに撮影されたと思われるモノクロ写真に写る「うすいや食堂」
昭和30年ごろに撮影されたと思われるモノクロ写真に写る「うすいや食堂」


1年ほど前からこの18日での閉店を考えていた。閉店1カ月前に店内に閉店のお知らせを張り出した。その写真を客がInstagramで投稿したらあっという間に近所や客に知れ渡った。投稿を見た弟の娘からすぐに閉店の真偽を確認をする連絡があった。

以来、閉店を惜しみ、うすいや食堂の味や店を記憶しよういう客が毎日、さばききれないほど訪れる。おかげで出前に対応できなくなっている。

手打ちうどんを仕込む塚田さん
手打ちうどんを仕込む塚田さん

数少なくなった「食堂」が消える

地元でもラーメン店はまだ数多く残っているが「食堂」は少ない。うどん、ラーメン、丼物、定食、カレーライス、焼き肉、野菜いためとメニューは幅広い。うどんは今も手打ちにこだわっている。懐かしさだけでなく、今も味で多くの客をつかんでいる。

姉は小学校に通っているときから、昼休みに帰宅して店を手伝ったと言う。「いい思い出はいっぱいあって思い出さんね。切ねーこともあったし。忙がして音を上げたこともあったね」。店の中に思い出が詰まっている。


「うすいや食堂」正面
「うすいや食堂」正面

「お客さんも言うんだけど、閉店する店は暇で仕事がない食堂が多い。ここんちは違うんだと。きのうもおばあさんが涙流しながら花束を持ってきてくれてね。開店祝いならわかるけど…」とほろり。おばあさんは「これはね、お父さんにやるんじゃないよ。お姉さんとね、お母さんにやるんだっけね。お疲れさまでしたって」と話したと言う。

「長い間、ご苦労様でしたとお客さんが慰めてくれる」。塚原さんは最後の1日までふだん通りのペースで走り切る。

「うすいや食堂」正面
「うすいや食堂」正面

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