新潟県三条市の歴史民俗産業資料館(篠原智子図書館長)が21日、リニューアルオープンした。5月4日から臨時休館して築90年近い建物の修繕や常設展示の展示替えを行い、生まれ変わった新たな形で三条の歴史を発信している。
21日は開場式を行った。滝沢亮市長はあいさつで、NHKの番組「ブラタモリ」で燕三条が取り上げられたばかりで、「すばらしいタイミングでこの三条の歴史をより知ることができるる施設がリニューアルしたのは本当によかった」と話した。
昨年7月にオープンした図書館等複合施設「まちやま」はまもなく来館者が80万人を迎え、 来春には旧図書館のリニューアルオープンも予定している。「このエリア全体が三条の文化、芸術、伝統、歴史を一体となって学べるエリアになる。そのなかで資料館がこれまでにない新たな位置づけとして多くの方にお越しいただきたい」の述べ、テープカットを行って開場した。
歴史民俗産業資料館は1925年(昭和10)に武道を鍛錬する「武徳殿」として建設された。その後、公会堂、公民館、旧図書館建設中の仮図書館、青少年育成センターなどに活用され、1989年(平成元)から歴史民俗産業資料館に。2009年(平成21)に三条市初の国登録有形文化財に登録された。
老朽化が著しくなり、旧図書館が来年3月末に歴史民俗産業資料館の別館としてオープンすることから、それを踏まえて常設展示を見直した。
事業費は約430万円。床、壁、天井などを修繕したが、修繕が難しい屋根の雨漏りなどは手が回らず、カーペットも一部はそのままになっている。
常設展示は大きく変わった。「三条らしさ」を生んだ「川」と「ものづくり」に注目した。入り口を入って廊下を反時計回りに旧石器時代・縄文時代から弥生・古墳、奈良・平安、鎌倉・室町・安土桃山、江戸、明治・大正・昭和と、火焔土器に始まり時代を追った展示物が並ぶ。
旧貴賓室は名誉市民・岩田正巳の記念室だったが、別館に移設することにしたため、武徳殿に関する資料を展示した。入り口を入って中央から右半分の旧柔道場の常設展示は、三条凧合戦、昭和以前のレトロな道具、市内オープンファクトリーなどに関連したものを展示。向かって左半分の旧剣道場は企画展示室で、11月26日まで企画展「墨壺コレクション」を開いている。
これまでの常設展示は、市が所有する資料を遺物などを単に展示し、さらに寄付を受けたものを追加展示したため、展示替えしたことはあるが、とりとめがない印象だった。
今回のリニューアルでは展示物を選択、整理して一から見直し、解説パネルを充実。時代順に展示した効果は大きく、これまでより圧倒的に理解しやすく興味深く見学できる展示になった。また、パンフレットも和紙風の紙を使った三つ折りで、表紙には正面から見た建物の屋根の形と土偶の顔をシンプルにデザインしておしゃれに仕上げた。
三条市は7月に「アウトドアのまち三条」を宣言したが、篠原館長は「三条は実は3万年前からアウトドアをやってたなみたいなことがわかる。まず、ここは建物自体がいちばんの展示物」と言い、この土、日曜に解説会、10月にも部分的な解説会を開くので、参加を呼びかけている。
開館はこれまで通り午前9時から午後5時まで、月曜や月末日、年末年始などは休館。入場無料。問い合わせは歴史民俗産業資料館(0256-33-4446)。