【ドットコラム】「松燕」閉店ショック (2023.10.2)

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新潟県燕市の燕駅前通りにある創業60年余りになる精肉店「かねまつ商店」(本町1)とその2階の焼肉飯店「松燕(しょうえん)」が9月30日、閉店した。

最終日の閉店後に泉谷社長(左)と授業員、常連客で最後の記念写真
最終日の閉店後に泉谷社長(左)と授業員、常連客で最後の記念写真

三条市北五百川出身の泉谷日出夫さん(85)が1961年(昭和36)に「かねまつ」を開業。それから10年ほどたって2階で「松燕」を始めた。

「松燕」は特定の肉に限り1皿110円か、食べ放題飲み放題で3,080円の2つのコースがあった。いずれも焼き肉店とは思えない安さだが、精肉店なので肉の品質は折り紙付き。燕のソウルフードとして人気だった。


最後にともった松燕の看板のあかり
最後にともった松燕の看板のあかり
この階段からテンションが上がる
この階段からテンションが上がる

泉谷さんは80歳を超え、体力的に継続が難しくなり、閉店を決めた。基本、小上がりの4つのテーブルしか使わないから、ふだんから満員で入店を断られることも多かった。

閉店1カ月近く前に閉店を発表してから閉店を惜しむ人が殺到した。毎日、満員どころか開店前から行列ができ、開店から入れ替え制で2回転で客をさばいた。

閉店後の店内
閉店後の店内

最終日の行列のいちばん乗りは午後3時半に訪れた。閉店が迫るとふだんは店に顔を出さない泉谷さんが店を訪れ、4人の従業員一人ひとりに給料袋を手渡して感謝した。常連客にも何度も頭を下げて感謝していた。

1皿110円か食べ飲み放題のメニュー
1皿110円か食べ飲み放題のメニュー


実は松燕通いのキャリアはそう長くない。10年ほど前になるだろうか。友人に誘われてから良く行くようになったが、それ以前は1、2度くらいしか行った記憶がない。

行きつけの店がなくなったのが悲しいだけではない。松燕は自慢の店だった。「松燕」は酒を飲まなければ1人2,000円ちょっとであがり、初めての客は確実に驚いてくれた。

焼き肉
焼き肉

遠方から燕市を訪れた人に燕のディープな店として紹介するのが、「松燕」、「喫茶ロンドン」、「花見屋」の3店。その一角を失ったショックは大きい。

最終日は感謝の言葉を繰り返して笑顔だった泉谷さん
最終日は感謝の言葉を繰り返して笑顔だった泉谷さん

レトロな焼き肉店の燕の雄が「松燕」なら、となりの三条の雄は「三条の焼き肉の聖地」とまで呼ばれる「さんきらく」。「さんきらく」は後継者もあって経営は盤石。こちらもよく利用させてもらっている。これからは「松燕」の分まで通わせてもらうことになる。


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